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2曲目 ページ2
私は差し出されたショットグラスでウイスキーを煽った。
煙草の息を吹く音と、
ジッポの金属音だけが響く。
二度目のアルセナール。
「どっから来たん」
『…仕事終わって会社から、』
「…男やろ」
『…』
「その悲惨な顔に書いてあるわ」
ククッと喉を鳴らした男は
一つしかないショットグラスで酒を煽ったあと、
すぐに注ぎ直して私に渡す。
「飲め。」
差し出されたグラスと、ボトルの間に映る自分を見比べ、酒を煽った。
三本目の煙草に火をつける男。
後ろの時計は3時58分を指していた。
四本目の煙草は、私に差し出された。
それを受け取って咥えようと少し下を向いたとき、
一滴、水が落ちた。
落ちた水を確かめようと、ボトルの間の自分を見る。
泣いてはいない。
自分の顔はいつも通りだった。
煙草を吸い始めた私に気付いた男はまた、
ククッと喉を鳴らした。
曲が終わった。
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作成日時:2019年9月7日 12時