寂しさを舐めとれば。

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もうすぐで、定時。






"今夜、空いてますか？"


わかりやすく胸が高鳴っていて、
正直さっきから全然仕事の内容が頭に入ってこない。

わかるのはコーヒーの味がやっと。


なんとか、意識していないふりをしようと
目の前の玉森先輩には目もくれていない雰囲気を装い
険しい顔をしてみたり、パソコンと睨んでみたり、
ドラマに出る女優のように役に入り込んだ。





佐「ねぇ宏光、ここってさ」

北「んぁ？

あ！そうそうちょうど言おうと思ってた
さすが波だな〜」



なんか、佐々木先輩の笑顔が切なく見える。

って、余計なお世話か。





『煙草、やめたんですよね』




なんか、佐々木先輩と玉森先輩が付き合ってるの
想像できないな。

2人で話しているところ、あまり見たことないし。



ふと、玉森先輩に目を移す。




『誰かさんのせいで色々あってムシャクシャしてっ』





2人、色々あったんだ…。





玉「…どうか、しました？」


気付けば、私はずっと見ていて
小声で困ったように先輩は首をかしげていた。



私もしかして、
2人が付き合っていたの想像できないんじゃなくて、

したくないんじゃないの、、、？




「い、いえっ」




そう、だよね。

2人にしかわからない、何かがきっとある。


寂しくなったってしょうがない。





人は、知りたくなった興味本位から
深入りすればするほど

なぜか"知らなきゃよかった"に到着することがある。


途中下車が大事なんだ、とどこかの小説で読んだ。


それは、諦めや逃げなんじゃなくて
ちょっとした寄り道なんだ、って。











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