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玉森SIDE
『ゆうた…、私もうだめかもしれない』
『今、どこいるんですか』
『裕太くんはいつも律儀で偉いね』
『お前のそういうところ、憎たらしいっつーか』
『正義ぶってんじゃねぇよ』
いつも決まって雨。
まるで、泣けない俺の代わりに
空が泣いてくれているようだった。
確か、あの日も。
『ねぇ、何回同じこと言わせるの』
あ『すいません…』
『仕事ってのはね、頼まれたことできるのは当たり前なの。
求められている以上のことをしてよ。』
あ『すいません。』
『そうやって被害者ぶるのもやめて。
お願いだからその態度のままオフィス戻らないでね。』
資料を届けるように頼まれて、
エレベーターに乗ろうとしたけど
中は楽しそうに賑やかだったため、
後ずさりして裏階段から行くことにした。
そしたら、階段にしゃがみ込み
泣いている朝霧さんの姿だった。
説教を聞くつもりはなかったけど、
歯を食いしばって謝っている姿になぜだか引き寄せられた。
朝霧さんとはそこまで話したこともなかったから、
慰められるようなそんな勇気はなかった。
あ『……っ大丈夫、大丈夫』
無理やり自分を落ち着かせるように
必死に泣き止もうと胸を叩いていた。
まるで、母親が子供に
慰めているように。
朝霧さんが泣いているとこを見たのは、
確か半年くらい前。
その日を境に、僕はなぜか朝霧さんを目で追いかけるようになった。
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裕太 - このみ (2021年8月9日 13時) (レス) id: 25b3f023e7 (このIDを非表示/違反報告)
かな - こんにちは!私涼風さんの作品大好きで、載せてある作品も全部拝見したことがあります!衝撃でしたが納得です。笑ここまで飲み込まれる作品、素敵だなと思っていたので!これからも応援しています! (2021年7月22日 16時) (レス) id: 0aabf425eb (このIDを非表示/違反報告)
り(プロフ) - もう更新はないのかなって思ってたから本当に嬉しいです…。しかもあんな玉森先輩の呼び捨てとか不意に出るタメ口が好きすぎます!!これからもゆっくりでいいので更新待ってます。 (2021年7月22日 15時) (レス) id: 16253f3e09 (このIDを非表示/違反報告)
000(プロフ) - さつきさん» そう言ってもらえて凄く嬉しいです。ありがとうございます! (2021年5月23日 21時) (レス) id: 93533482e6 (このIDを非表示/違反報告)
さつき - 面白いです!続きが気になる!! (2021年5月20日 0時) (レス) id: 16253f3e09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:000 | 作成日時:2021年5月19日 19時