4 ページ4
・
『高校３年生の春、俺は事故で記憶を失った。』
昔、不意にそんなことを話してくれたのも覚えている。
衝撃過ぎて言葉が出なかった。
『自分の名前を覚えてるくらいで
後のことは綺麗なまでに忘れた。
どうやら俺はずっと独りぼっちだったらしい。
自分が住んでいたであろう家には、
両親と、祖母の仏壇。
タンスの引き出しには祖母の遺書があって、そこには
幼いころに両親を事故で亡くしたという情報があった。
思い出は記憶から消されたが
勉強だけは奇跡的にも残っていて、学力などの心配はなく
そこから進学していった。』
『どうして、警察官に、、、？』
『"小さい頃からおまわりさんになりたいって言っていた夢を
おばあちゃんに見せてくださいね。"
そう祖母の遺書に書いてあったから。
文だけでも、俺は愛されていたんだなと伝わった。
なりたい夢もなければ、
この先何をしたらいいかわからなかったから
俺は真っ先に警察学校に進んでいった。』
『たださ、
今でも夜になると
なぜか水の中にいるような
そんな水中の音が聞こえるんだ。
そして、いつも不思議と泣いている。』
先輩の強さと同時に、
弱くて、ものすごく脆い、
大きな悲しみを見た気がした。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
000(プロフ) - mmさん» 更新がだいぶ遅くなっていて申し訳ないです。私もミステリーが大好きなので頑張りたいと思います。応援ありがとうございます！ (2021年5月23日 21時) (
レス) id: 93533482e6 (このIDを非表示/違反報告)
mm - この前から読み始めたのですが、滅多にないミステリー小説で凄く楽しませてもらってます！先輩である藤ヶ谷くんも凄く優しくて、過去の起きたこととか色々伏線が張ってあって気になります！！これからも頑張ってください！応援してます！続きが楽しみです… (2021年1月12日 16時) (レス) id: 8d0da4ffd1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：000 | 作成日時：2021年1月5日 22時
