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ym side
「……俺?なんで…全然好きなタイプじゃないでしょ」
「大ちゃんだって違うよ」
「そう…だね、ごめん。
…恋愛的な意味でのすきとか…わからないから、今までそういうの全部断ってきた。同じ気持ちを返せないのに、付き合っても多分意味ないし、失礼だと思うから…。…今も、正直まだよく分からない。ごめん」
ぎゅっと目を瞑る。そう言われるのが怖かった、だから俺は行動できなかった。…けど、頑張れて良かった。
「けど、分からないけど、…なんか今、安心した」
驚いて目を開く。それって、どういう…
「疲れること、好きじゃないんだ。走るのも、息切れるし、お腹も痛くなるし」
何の話…。
「でも、疲れたのに、今、山田くんの気持ち聞いたら…さっきより楽になった。なんだろう…。
なんか今日、意味なく少しイライラしてみたいで、」
…あれ?
「いや、意味なくはないな。大ちゃんにイライラしてたんだっけ…」
「なんだっけ…」とベンチに座って俯く伊野尾くん。
それって、さっきまで俺が大ちゃんを好きなんだと思ってて、それが誤解って分かってちょっと安心した…っていう意味だったりしないかな…。
都合よく考えすぎかな…。
「さっき大ちゃんのこと…俺のためにって思って言ってくれたんだよね」
「うん…間違えたけど」
「走るの、嫌いなのにっ必死で追いかけてきてくれたんだよね」
都合良くても、
「…?うん」
いいや、
「次好きな人できたら頑張ればいいって、」
縋ってみたい。
「伊野尾くん言ったよね!?」
「言…った、ね」
伊野尾くんとの距離を詰めるようにしてベンチに正座する。
「伊野尾くんが言ったんだからね?ちゃんと見てて、頑張るから、だから…!」
もう視界が揺れて顔もあまり見えないし、きっとぐしゃぐしゃだろうな、俺の顔。
「だからまだ…諦めろって…言わないで…」
「……分かった、じゃあ…楽しみにしてようかな」
「?」
「そんなこと、言われたの初めてだ」
髪を靡かせながらにっこりと笑う伊野尾くん。伊野尾くんが、恋を知る日がくるなら、
「…いつか絶対、彼氏になってもらうから!」
「わ」
思いっきり抱きついて思う。その気持ちが向く相手はやっぱり俺じゃなきゃいやだ。
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take a walk - 応援ありがとうございます!一筆月さんのお話読むのが好きなので、私も読んで頂けて嬉しいです! (2023年1月12日 14時) (レス) id: 02038ffd3b (このIDを非表示/違反報告)
一筆月(いっぴつつき)(プロフ) - こんにちは。以前、『盲目〜』シリーズでコメントいただいた一筆です。主様の小説を読みたいと思っていたら巡り会えました😊お体に気をつけて執筆活動頑張ってください。応援させていただきます。 (2023年1月12日 13時) (レス) id: b67b2d7285 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:take a walk | 作成日時:2023年1月11日 12時