なんのお酒が好きとは(哲学) ページ7
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「ねぇまだ事件解決しないの?」
「五条先輩ちょっと黙ってください。」
私が来て身元証明ができたのはいいが、捜査に進展がなく未だに帰ることが許されない。確かに、捜査が長いな、とは思う。事情聴取も受けたし、このまま進展がないなら帰ってもいいと思うのだが…
と、ぼーっとしていると、離れたところに立っていた女性がヒステリックに叫んだ。
「いい加減にして!恋人が殺されたっていうのに、なんで私まで疑われなきゃならないの!?犯人はどうせあの白髪野郎なんだから早く逮捕して頂戴!」
そう言って五条先輩を指差す女性。白髪野郎という単語に吹き出してしまった私を尻目に、五条先輩は女性を静かに見つめる。その姿には微かに怒気を含んでいた。
「うるさいなぁ、そんなに叫ばないでよ。僕は君の恋人と接点がないのになんで殺すわけ?動機がないじゃん。ヒステリックに叫んでるアンタの方がよっぽど犯人に見えるけど?」
「な、っ!」
ド正論すぎて思わず黙ってしまった。いや、確かに言ってること当たり前のことすぎて。
正直、五条先輩が人を殺すならもっとうまくやると思う。路地裏とか山とか、人気のない場所に連れ込んで術式でぶちゃって圧死させてそう。こんな真っ昼間に店で人を殺すわけないんだよなぁ。五条先輩との付き合いが長すぎて、大体はどんな行動をするのか把握してしまっている。これは後輩パシリの性なのか…?
「そもそも、この場にいる方々は貴方以外殺された方と面識はないですしね。」
安室さんがそういう。それに乗じてコナンくんも自分の推理を披露していた。なんか推理ショー始まったぜおいおい。
そっと傍観していると、やはり犯人は恋人の女性だったらしく、最後には大泣きしていた。動機は痴情のもつれ。なんでも殺された男性側が浮気をしていたらしく、別れ話を切り出されそうになり別れたくなかった彼女は殺してしまった、とのこと。
くっそみたいな動機で人殺すなよぉ(泣)
正直、痴情のもつれと言っても、広い目でみたら案外そういうことは少なくない。言っちゃ悪いが、そんなことで殺人を起こして、負の感情が巻き起こり呪霊が発生する悪循環になるんだわ。私達の仕事増やすなボケ。
おっと、お口が。
「無事解決したし、僕達帰ってもいいよね?」
「えぇ、大丈夫ですよ。」
刑事さんに断って店から出ようとしたところでコナン君に呼び止められた。
「お姉さんってなんのお酒が好き?」
……お?
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作者名:ななを | 作成日時:2022年6月7日 21時