袈裟を着た夏油様。 ページ22
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コンビニ強盗事件は無事解決し、私達は警察の事情聴取を受けずにすたこらさっさと補助監督の車に乗り込んだ。賭け事やりたいと文句を言う甚爾さんは、適当に黙らせておいた。
そして、時は変わって、私はとあるパーティー会場にいる。_______
「A、楽しんでる?君の好きな“ルシアン”を用意させたよ。」
「ありがとうございます、“夏油先輩”。お言葉に甘えていただきますね。」
“ルシアン”___レディ・キラーと呼ばれるカクテルの一つで、カカオのような甘い香りと味をもっており、甘党の女性には飲みやすいお酒である。しかし、度数が非常に高いお酒で、普通はこんなパーティー会場で飲むものではない。だって普通の人なら直ぐに酔っ払ってしまうからだ。
でも私はあんまり酔わないから余裕なんだけどね。
ちなみに、カクテル言葉は「誘惑」だったりする。夏油先輩からの誘惑なんて怖すぎて。まぁ冗談を含んでいると思うんだけど。夏油先輩ってそういう人だし。
「それにしても、結構人数が集まってますね。宗教団体主催のパーティーなんか普通詐欺だと思うでしょうに。」
「それだけ私に人望があるってことなんじゃないかな。流石に悟の家からいつまでも援助金をもらうわけにもいかないからね。自分のお金は自分で集めるよ。」
このパーティーは夏油先輩がもっている宗教団体主催だ。なんでも投資者を募るためのものらしい。
夏油先輩は一度離反した際に、宗教団体の教祖となって活動していたのだが、去年の百鬼夜行で五条先輩に敗北し今では大人しく呪術師として生活を送っている。
しかし、活動していた宗教団体は解体したくない、家族の居場所を守ってやりたい、と強く懇願した夏油先輩に、五条先輩と朱川家が他の御三家を黙らせて夏油先輩の活動を黙認している。
今はその資金集め、というところだ。そしてなぜか私まで参加させられている。謎だ。
「それじゃあ私は挨拶をしてくるから。」
「あぁ、頑張ってくださいね。」
袈裟に、お団子ヘア、胡散臭そうな笑みを浮かべた夏油先輩は人の中に入っていった。
そんな見た目でよく団体の教祖名乗れるな。怪しすぎて、五条先輩超えられるぞ?笑った顔なんか一番詐欺師ぽいし。
私は、グラスに口をつけながらその背中を見つめた。一人で突っ立っているのも疲れたから、少し休憩しようと壁際によろうと足を踏み出した時、
「あれ?朱川お姉さん?」
見覚えのある眼鏡が光った。なんだ此処は地獄か?
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作者名:ななを | 作成日時:2022年6月7日 21時