三百七十五話＊ ページ32
「ーーーーー」
徐に巨大生物が腕を振りかぶる。
その腕の一振りで、魚人島そのものが瓦解する威力。
たった一手、その一撃が必殺に成りえる戦力差。
「ーーーーー！！！！！！」
凄まじい咆哮。
巨大生物の二の腕から先がはじけ飛ぶ。
「laaaaaaaaaaaaa!!!!!!」
地の底から響くような声を上げ、はじけ飛んだ腕が再生する。
真っ白な肉が蠢き、目まぐるしい速度で腕の形を形成していく。
「もう遅い、癌は今お前を食べ始めた！」
女の言葉の後、今度は生物の肩から先が爆散した。
「ｌaaaaaaaaaaa!!!!!」
再び再生が始まるが、再生した先から爆裂し、さらにその巨躯を砕いていく。
地獄絵図の再現。
爆音。咆哮。爆散。再生。
何度も何度も殺しては再生を繰り返す。
「お前が生き物で良かったよ。もし生き物でなかったら、全滅はないにしろ確実に致命傷を受けていただろうさ」
女はそう呟き、構えていた蒸気を霧散させる。
巨大生物の様子を見て、相手の死を感じ取ったのだ。
確実に相手の命を刈り取る蒸気の塊。
生命の寄生し、対象の熱を糧に成長する蒸気の卵。
故に相手が生きている限り爆発は止まらない。
相手の命が燃え尽きるまで食らい尽くす癌細胞。
まさに『
＊＊＊
女によって巨大生物は跡形もなく砕け散った。
危機を回避した魚人島では、負傷者の治療が行われていた。
「ルフィ様、お助かりになられますか？！」
「腹が、抉れてっ！？やべえぞ、血が、血が足りねえ！」
不可思議な力によって本来の枠組みを大きく超越した能力を発揮していたホーディによって、ルフィの横腹は大きくえぐり取られていた。
「ヤバくねェか？！ウチにルフィ以外F型はいねェぞ！」
「だれか！ここに血液型F型の奴いねぇか！！血が足りねぇんだ！！」
必死になって広場に助けを乞うチョッパー。
次よ次よと人々の顔を見ていくが、皆視線を逸らしていく。
ジンベエの言葉の通り、いくら未来を救った男とはいえ、ニンゲンをそう易々と受け入れられるはずもない。
そこに加え、かつて定められた法がある。
誰も自ら動こうとはしなかった。
「わしの血を使え！Fじゃ！いくらでもくれてやる！」
「ジンベエ！」
広場の出入り口から移動してきたジンベエが袖をまくり、腕を差し出す。
ギャラリーのどよめきが一層うるさくなるが、ジンベエが一蹴して黙らせる。
「わしは海賊じゃ」
「しかしだなジンベエ！」
「止めるな！いいんじゃモン！古き法も、また『呪い』じゃもん…！」
「国王……！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 174人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シーデン(プロフ) - Yodukiさん» コメント、有難うございます。只今作品全体の添削を行っておりますゆえ、添削前と後で齟齬が発生してしまっております。随時更新していきますので、何卒ご容赦下さい。尚、添削後のストーリーでは、アサギを要所要所で登場させる予定です。 (2019年10月17日 8時) (
レス) id: f1f9c9e809 (このIDを非表示/違反報告)
Yoduki(プロフ) - アサギ(蛇)出てこないですか？ (2019年10月15日 13時) (レス) id: 64cce11da8 (このIDを非表示/違反報告)
シーデン(プロフ) - 黒音さん» 了解致しました。続編のその9にて、夢主様に関する事柄を多く取り上げ、記載させていただきます。 (2017年12月2日 22時) (レス) id: f1f9c9e809 (このIDを非表示/違反報告)
黒音 - シーデンさん» でしたら、副船長ちゃんの容貌を詳しく載せてくださいませんでしょうか？ (2017年12月2日 21時) (レス) id: b51887888b (このIDを非表示/違反報告)
シーデン(プロフ) - 黒音さん» ご閲覧、有難う御座います。『イメージ画』是非ともお願いしたいのですが、私が何かアクションを起こす必要がありますか？何分こういったことは初めてですので、ご教授お願いします (2017年11月29日 16時) (レス) id: f1f9c9e809 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シーデン | 作成日時：2017年8月9日 12時
