二百五十四話* ページ9
ハンコックさんが口を開くたびに、惨憺たる歴史の一幕が詳らかになっていく。
内臓から血を吐き出すように、自らの過去を明かしていくハンコックさん。
私は別にそれを追体験しただけで、実際に痛みも辛さも味わってない。
だから、絶対に私なんかがこの惨たらしい過去に口を出す権利はないし、赦されていないはずだ。
でも私は、流れる涙を止めることも、ぬぐうこともできずにいた。
「ボア・ハンコック。それが、妾の、――人ではなかったものの名じゃ。」
私は単なる一般人だ。
いじめられた経験などなく、辛い…そんな感情は殆ど味わった事がなかった。
そんな私は、傲慢にも目の前ですすり泣く美女に、同情をした。
「其方達は…天竜人の所有物であった妾を……蔑むか」
傲慢な考えは止まらない。
―可哀想に
なにさまだ？
―助けてあげたかった
なにができた？
―こんなの間違ってる
しってる。
だからこそ、私は私を貫く。
「人以下であったわらわらを…！蔑むのか…！」
わなわなと震える女性を、私は固まった体を動かし近づく。
「あなたは、人。ひと。貴女が貴女じゃなかったことなんて、一度たりとも無いでしょ？」
傲慢？
おおいに結構、実に人間らしい！
「妾は……」
「さっきからよ、なぁ〜に言ってんだ？おめぇ」
たじろぐハンコックさんに、ルフィ君がダメ押しの一撃を加える。
彼女にシャボンディでの動乱を話し、そうして大口を開けて笑う。
「其方は、本当に――かの人を」
「あぁ！ぶっ飛ばした！」
「ちなみに言うと、私と、アサギもそれに加担したんだぜ？」
「フフフ―――フハハハッッ！」
ハンコックさんが天井を仰ぎ、笑う。
はしたのうございますよ、姫様。
「其方らの在り様、しかとこの胸に届いた。よかろう、其方らの願い、蛇姫たるこの妾が聞き届けるっ！」
「ほんとかぁ！？」目を煌かせ、涎を流しながらルフィ君は喜ぶ。
「じゃああの石にしたやつ！戻してくれ！」
「あ、私もお願いできる？」
「勿論じゃ、戦士は…そうじゃの、宴会を開く。そこで戻すとしよう」
そう言って、ハンコックさんは私の石化した部分に口づけをする。
刹那、体の硬直が解け、私に自由がもたらされる。
――ぐぅぅるるるる…！
「あ」
「そういやろくにご飯食べてなかったね」
「フフフ。ソニア、マリーこ奴らを今夜の宴に参加させてやるがいい」
「えぇ？！」「お、男を？！」
満ち足りたように、笑みを浮かべて控える姉妹に告げるハンコックさん。
やっぱり美人は笑顔が似合うね。
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シーデン(プロフ) - あかりさん、有難うございます、修正いたしました…。わぁ…恥ずかし…何故気づかなかったのか…。二度は無いよう、見直しを心がけます。ご指摘、誠に有難うございました。 (2017年6月10日 16時) (
レス) id: f1f9c9e809 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - これだと、武装色と見聞色はブルックが1番強い事になってます (2017年6月10日 16時) (レス) id: 52ddd1b5fc (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 正しくは、1<2<3の様に広がっている方が大きくなります (2017年6月10日 16時) (レス) id: 52ddd1b5fc (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - すいません、不等号の向きが逆になってます！ (2017年6月10日 16時) (レス) id: 52ddd1b5fc (このIDを非表示/違反報告)
シーデン(プロフ) - 正実さん、ご指摘誠にありがとうございます。わたくしの注意不足です、申し訳ございません。ご指摘頂いたところは修正いたしました。 (2017年5月2日 17時) (レス) id: f1f9c9e809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年4月12日 15時
