【ONE PIECE】麦わらとのんき女の航海日誌その4 (ページ50)

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百九十六話* ページ50

『や、やべぇえぇぇ！！！！？ば、バスターコールを要請しちまったぁぁ？？！！』

ひどく動揺したスパンダムが叫ぶ。
自分の伝達用小型電伝虫を起動させてるとも気づかずに。

「バスター…コール……！」

わなわなと震え、ついには膝から崩れ落ちるロビン。
過去の惨劇が、今尚ロビンの精神を蝕む。

「バスターコール？おい、なんだそれ！」
「貴様には関係ない、どうせ、死ぬ」

ルフィに殴られ、吐き出してしまった自分の血を拭きながらルッチがルフィの問いかけに答える。
既に能力を発動させており、もともと筋骨隆々だった体はさらに膨れ上がり、もはや化け物としか形容できないほどの姿になっていた。

「ネコネコの実、モデル豹！迫撃でこの能力に勝てる奴はいない」
「すっげー！変身したぁ！」

ルフィが目を輝かせその能力を羨む。
いや、能力を、というより変身という概念を実現したことに対してといったほうが適切か。

「剃刀！」

ルッチは先ほどルフィを拘束した手法で、その場から消える。同じ手とはいえ、それを実行する地力が格段に向上している。スピードも、放たれる斬撃も、何もかもがさっきとは大違いだ。

「嵐脚・白雷っ！」
「うわっ！？」

飛び交う斬撃を何とかいなし、攻撃を試みるが、膨張した筋肉を前に、容易く弾かれてしまう。
やはり、全力の攻撃しか通じない。

「剃刀！指銃・撥(バチ)！」

隙ができたルフィの後ろに回り、飛ぶ指銃、撥を放つルッチ。

獣人型に変形した状態で放たれるそれは、ルフィのゴムの体に小さな傷を、無数に刻み込んでいく。

「指銃！三つ撥、三つ撥！」
「が！う！痛てェ！」

剃刀でルフィの周りを飛び回り、撥を何発も打つルッチ。それを防ぐためにルフィは武装色を体に纏わせるが、完全なものではないのでダメージは少なからずくらってしまう。

「剃刀！」
「！！」

剃刀を使い飛び回るルッチとそれに何とか攻撃を当てているルフィ。まるでドラゴンボールのような戦いだ、一般人には何も見えないだろう。

「はぁ…はぁ…」
「どうした？心なしかその技の威力も落ちているぞォ！！」

所々で覇気を併用した攻撃を行っているので、消耗が激しい。
既に息が上がっていた。

「ゴムゴムの…！鷹ライフル！」
「ぐぅううう！」
「まだまだ！おまえを倒すまで倒れねぇ！！！」

バスターコールまで、あと数分。

「おいテメェニコロビン！倒れこんでんじゃねぇ！！」
「…！」

激戦の後ろでは、バカと天才が小競り合いを繰り広げていた。