百八十九話* ページ43
「嵐脚・周断！！！」
「っ！？」
首折りたたんで、その分手足が伸びるというとんでも芸を見せたカクは、その場で旋回し、広範囲の斬撃を放つ。
突っ込みを入れて、油断していたゾロは反応が一瞬遅れ、正面からそれを受けてしまう。
「…！」
「防いだか、ふむ。なかなかやるのぉ」
ぎりぎりで己の体にぶつかる前に刀を振るうことで直撃は免れたが、防御に使った刀が折れてしまったのだ。
いや、折れたというよりも斬られたと言ったほうがいいかもしれない。
刃の中腹あたりからすっぱりと両断されてしまっている。
「ふはは、どうじゃ。これぞキリンの神髄！」
ゾロは心中で己を恥じていた。
あれほど皆を鼓舞しておいて、あれほど皆を急かしておいて、当の自分は何をしてる？
油断して、得物を一つ失った。
最初から本気を出していれば、一瞬で済んだのにだ。
「らぁああっ！」
「ふんっ！どうしたそれで終わりか！」
ゾロが振るった刀を体で受け止め、ゾロを遠くへ飛ばす。
体勢を崩されたゾロは、刀を地面にさすことで何とか倒れずに持ちこたえた。
「嵐脚」
「七十二煩悩鳳！」
必死に体制を持ち直し、刀を振るい斬撃を生み出す。
ぎりぎり間に合い、ゾロの体に嵐脚が届く前に打ち消すことに成功した。
しかし、それによってできた隙を見逃すカクではない。
再び首を折り曲げ、その首を砲台のように射出する。
「鼻銃！」
「二刀流・二剛力斬！」
弾く。
ゾロが飛んできた真四角の鼻を弾き、攻撃を躱す。
「くぅ！！」
「二刀流・犀回」
ゾロは己が弾いて地面に打ち付けたカクの首を、刀を構え縦回転しながら転がっていき、カクの体中を斬り付けた。
もはやゾロの死角は無い、全力をもって、敵を屠る。
「ぐあぁああっ！」
たまらずうめき声をあげ、体をふるいゾロを体から離れさせるカク。
「…もう、油断はしねぇ」
「なんじゃと…」
手拭いを頭に巻き、二振りの刀を構える。
己への戒めと、友への謝罪を胸に。
「二刀流……居合…！」
「…！？」
ゾロを覆う圧倒的なまでの気迫。
カクはゾロを三面六膂の鬼神と見紛うた。
堪らず後ずさりをして、構えを解除するカク。
「羅生門！！！！」
「て、鉄…！」
あまりの迫力に気圧されたカクは、防御をとるのが一瞬遅れる。
ゾロが体を斬りつけるには、十分すぎる時間だった。ほんの瞬きほどの刹那の間に、勝負がついたのだった。
「…」
無言で刀を鞘に戻し、カクの持っていたカギを奪い、先へ進むゾロ。
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シンア - 続き楽しみにしてます。 (2017年3月21日 23時) (
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年3月9日 22時
