二十八話* ページ29
「なんだっ、こいつ！」
「ちぃ、不意打ちだってのに…。なんて馬鹿力だにゃあ」
ゾロがブチの不意打ちをはじく。って言うかブチさん、アンタその堅で『にゃあ』て。
「おれが小娘を殺る、その間オメェは剣士を抑えとけ」「了解」
わぁお、私もしかしてOutOf眼中？ひっどいなぁ。いくら私が気体の能力者だからって空気扱いは傷つくんだぜ？
「いけぇッ！！」「フシャアッ！！！！」
シャムとブチがそれぞれ私とゾロ目掛けて突進してくる。私は攻撃は効かないし、ゾロもちゃんと刀持ってる状態だから問題は一切無い。
「何だァ？！こいつ、人間じゃねぇ！！」
自慢の鉤爪は空しく空を斬るだけに終わったシャムが、私から距離を置くべく後ずさる。
あぁ、ダメダメ。私に中距離戦やらせたら貴方勝目、ゼロよ？
「はいドーン。」
「ギニャッ！！？」
毎度お馴染高圧蒸気、遥か彼方に片道切符。
「ぁ…」「全く、結局何なんだ。コイツら」
おぉ、結構なお手前で。流石ゾロ、私が片し終わる前に終わってたみたい。
そんなこんなでニャーバンブラザーズ、あっけなく撃沈。
「遅ぇと思ったら…よもやこんなガキ連中に足止めされてるとはなァ…クロネコ海賊団も墜ちたもんだなぁ！えぇ！？ジャンゴォ！」
くそ、随分お早いご到着で！せめてルフィ君起こしてから来てよ。
「キ…キャプテン・クロ…！」
「五分だ。五分経ったら俺が『全員』殺してやる」
全員ねぇ？
真っ黒さんことクロたちが会話をしている中、私はルフィ君を起こそうと試みる。
「ねぇ！起きて！ご飯だよ！ルフィ君！」
「！！飯！！どこだ！」
グッド！ごはん作戦大成功！あとはクロたちを…倒すだけ！
スリラーバーグのとこ読んどいてよかった！
「ご飯はこの戦いの後に作ったげるから！」
「よっしゃー！」
「しまった！起きちまった！くそっ！」
「後、三分」
確かもうすぐ…
「カヤ！何でこんなとこに！逃げろ！殺されるぞ！」
あちゃ。やっぱり来ちゃったのね。カヤちゃん。
「クラハドール、私の財産が目当てなの？お金が欲しいのならあげる…っ！だから…、もうやめて！！」
「お嬢様」
クロが一瞬穏やかな表情になり、眼鏡の位置をただす。あの奇妙な挙動で。
「有難う御座います。ですが、もう一つ。欲しいモノがありましてね？それが何かというと、心の、平穏なのです。その二つの目的の為、貴方の様なハナッタレのお嬢さんに尽くして来たんですよォ」
ほんとに狂ってるな、コイツ。怖いよ…。
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
