十二話* ページ13
「な！？なんだ？！こいつ！」
ヘルメッポことキノコ頭が、私を見て腰を抜かす。根性ないなぁ、流石オヤジの威を借るバカ息子。
「な、成程なぁ！お前、噂に聞く能力者だな……！」
へぇ、一般常識は一応知ってるんだ。私がただの人間ではないと悟ったキノコは、自分の服についた塵を払いながら近づいてくる。
「へぇっへ！決めたぞ。お前、死刑だ！オヤジに言いつけてやる、言い訳したって無駄だぞ！」
「あっそ。」
私の顔を見て、何を言い出すかと思えば……くだらない。
「何で怖がらねぇんだ！？死ぬんだぞ！お前！」
「あぁー、なんていうかー、そのー…怖くないから怖がらない。それだけかな？」
うまく伝えられないけれど、これは本心だ。このキノコに対して全く恐怖心が生まれない。こいつが強面の極道モノだったら話は別だろうけど、こんなへっぽこには……というものだ。
職業柄ほんとにいろんな人と関わる事の多いもんでそー言った恐喝ぁ怖くないんだわ。
「頭おかしんじゃねぇのか…？！お前も！この罪人も！！ったく！気味が悪いぜ。もういい勝手にどこかに行っちまえ、不気味な女！！」
頭を掻きむしり、呆れたように私を刑に処す事を諦めるキノコ。
ホント何なんだコイツ。
「別に、言われなくても自由に行動しますよ？こっちは」
「けっ、ならさっさと行け！……オイ罪人。あの女は見逃してやるが、お前は別だ。せいぜいあと数日、頑張るんだなぁ！っへっへっへぇ！」
私を追い払おうとした後、キノコはゾロを舐め回すように見て、性格の悪い笑い声をあげながら消えていった。
360℃どこからどう見ても小物だね、あいつ。
「おい」
わお！ゾロだぁ！縛られてるけどカッコいい！
私がぼんやりとしていると、杭に括りつけられたままの状態でゾロが話しかけてきた。
「私？」
「あぁ、それ寄越せ。」
私が片手に持つ、齧られたおにぎり。
あいつが投げたせいで、形はぐちゃぐちゃになり、もはや原形をとどめていない。
「これ？本当？」
「そうだ、早く寄越せ…」
「はいはいっと」
何かの餌付けのように、両手でおにぎりを持ち、ゾロに与える。
「……っん。…うまかったと伝えてくれ。」
「…うん！りょーかい！」
ちゃんと全部食べてくれたって言えば、あの娘喜ぶだろうなぁ〜。
「おぉ！お前がゾロってやつだな！！お前おれの仲間になれ！！！良いだろ！！！」
私が一人ほんわかしていると、ルフィ君が痺れを切らして入ってきて、ゾロを仲間に誘う。相変わらず迷いのない行動だ。
ここまで振り切ってると憧れるよネ。
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
