十話* ページ11
「良いですか？ルフィさん、Aさん。よく聞いてくださいよ、今向かっているのは昨今巷を騒がしている極悪人のところですよ？おかしいと思いません？」
「べつに」「思わねぇ」
必死にゾロに会いに行くのを止めようとするコビー君。一度決めたルフィ君の道を矯正するなんて無理だというに。
勿論、ごく一般的な思考回路を持っているコビー君からすれば頭のおかしい行動なのだろうけれど、主人公たるルフィ君に付き合った時点でもはや君は普通じゃあいられない。
「おかしいんですよ…。普通は」「ルフィ君に普通なんか求めちゃ駄目サ」
肩を落とすコビー君を叩きながら電子タバコを吸う。
君も私も好きでルフィ君に付き合ってんだ。どうせなら楽しもうぜ？
それとこれはさっき気がついたのだけど、充電と蒸気の元であるリキッドが全く減らなくなっている。
限りがあるから節約して使わないとって思ってたんだけど、何でだろう。一言で『夢だから』と片づけられるものなんだけれど、どうも気になる。
今考えても仕方のないことなのかねぇ？どうも考え込んじゃうよ。
「ん？A、お前何やってんだー？」
あー、ルフィ君たちに言ったことはなかったか。私が急に静かになったのが気になったのか、ルフィ君が顔を覗き込んできて聞いてくる。
「煙草蒸かしてた」
「え？でもそんな臭いしてないですよ？」
「んぅ、これは世界にこれしかない貴重なタバコなんだー」
嘘は言ってない。
この世界でこれを持ってるのは、私だけ。
まぁ私以外に元の世界の住人がいれば別だけど。
「ほえー！すげぇの持ってんだな！」
「えへへー、それほどでもー」
「どこで手に入れたんですか？」
くぅ、調子に乗るんじゃなかった。ちょっと痛い質問だね。どうしよう？
「んー…なーいしょっ」
「そうですか…」
そりゃあ世界にコレしかないって言われたらルーツとか入手経路は気になるよねぇ。無理やり感が否めないけれど、コビー君の質問を適用にいなす。
このように適当に会話をしていると、視界の端に島が映り込んでくる。
ベストタイミング。話を逸らすにはもって付けのネタだ。
「ん！！島だ！！！」「ほぉー、なかなかでっかい。」
「あれがシェルズタウンですね」
それも見えてきたのは今回の目的の島だという。
いいねぇ、物語が始まる感覚！
うぅん、この気分。
成程どうして抑えがきかないね、この高揚感。
んー！楽しみだなー！
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
