後輩 ページ9
最近変な夢を見る。
痛くて、寒くて、寂しい世界の夢。
朝になると、どんな夢か忘れていて、穏やかな気持ちになる。
朝、早めに会社に行って、紫煙君(ショッピ)を見つけて、早速事情を話して鬱の居場所を聞いてみた。
｢紫煙君、鬱が何処におるか知ってる？｣
紫｢…すみません。最近、連絡してみても見てないみたいで分かりません。｣
｢紫煙君の連絡も見てないんか。なんか心配やな。｣
紫｢…そうっすね。チーノならなんか知っとるかも。俺よりあいつの方が相談しやすい事もあるやろし。｣
｢そうかな？私は紫煙君も橙也君(チーノ)も話しやすいと思うけど？｣
紫｢……ありがとうございます。｣ﾎﾞｿｯ
｢なんか言った？｣
紫｢いや。大先生は多分、Aさんを嫌った訳やないと思いますよ。｣
｢…そうやったら嬉しいな。｣
｢ありがとう。橙也君のところに聞きに行ってみるわ。｣
紫｢先輩。｣
｢何？｣
紫｢月が綺麗ですね。｣
｢？そうやな。じゃあ行くわ。｣ﾀｯﾀｯﾀｯ
紫｢……はぁ〜。ホンマ、鈍感。｣
紫｢……ホンマに、｣
紫｢……一生、Aが大先生を見つけへんかったらいいのに。｣
紫｢…｣
ﾋﾟﾘﾘﾘﾘﾘｶﾁｬ
紫｢なんすか。くそ先輩。｣
捏｢機嫌悪そうやの！ショッピ。｣
紫｢それはコネシマさんもやないんすか。｣
捏｢俺はもう、Aを応援するって決めたからな！｣
紫｢コネシマさんはそれでいいんですか？｣
捏｢なんや、まだなやんどるんか？｣
紫｢まぁ。｣
紫｢Aさんが知らない方が幸せやと思うんで。｣
捏｢確かに、知らへん方が幸せやろな。それでも、Aは大先生を探すと思うで！｣
紫｢………まぁもう俺には関係ない話なんで。｣
捏｢アーハッハッハ冷めとんなぁ。｣
プチッ
しまった。
イラついて、通話を切ってしまった。
ﾋﾟﾘﾘﾘﾘﾘ
ﾋﾟﾘﾘﾘﾘﾘ
ﾋﾟﾘﾘﾘﾘﾘ
あー何かなっとるけどまぁ大した用やないやろ。
紫｢……俺らはどうすればええんやろな？｣
真実が正解やとは限らない。
嘘もまた、正解やとは思う。
でも…
彼女には真実を知ってもらいたいとも思う。
この偽りで出来た世界が壊れるのはきっと彼女が大先生に会い、全てを知ったとき。
代わりに、彼女は夢から覚める。
紫｢夢はいつか覚めるもんや。それまではいい夢を見ていて欲しいと願うのは間違いなんやろうか。｣
紫煙(しえん)橙也(とうや)
月が綺麗ですね→あなたが好きです。
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作者名：黒猫と白猫 | 作成日時：2021年8月13日 0時
