2 ページ15
今日も私はいつも通り縁側で、ぺいんとを待っていた。
しかし、いつも来る時間になっても誰も来ない。
まぁ、調子が悪かったんだろう。そんなことを考えながら今日を終えた。
翌日、また来ない。体調を崩してしまったのだろうか。
そのまた翌日もそのまた翌日も来ない。
−−
ぺいんとが来なくなってから遂に1週間が経った。
流石に心配でならない。今まで来ない日は少しはあったが、連続して来ないなんて日は無かった。
流石に心配どころじゃ無くなってきて、父上に外に出る許可を貰って会いに行こうと思ったが、よくよく考えると住んでいる場所が分からないのだ。
でも、何もしないよりはまし。
昔、彼が教えてくれた言葉を胸に外に出ることにしよう。
−−
『父上様、お話が。』
「どうした？」
『お外にお出かけしたいのですが、よろしいでしょうか。』
「…どうしてだ」
『どうしても、…会いたい人がいるのです。』
「…誰だ」
『…私のお友達です。とても仲のいい。』
「お前にそんなやついたか？」
『以前外出した際に、仲良くなった方です。その方にどうしても会いたいのです。今。』
「…駄目だ。何より今は争いが激しくなってきている。外に出す訳にはいかん。」
『…っ』
最近警報の音が絶えないのは知っていた。
すぐ近くの街に火の海が降っていることも知っていた。
けど、それでも、彼に会いたい。ぺいんとに会いたい。
『そこをどうか…！』
「駄目だ!! 何を言おうとお前を出すわけにはいかない！」
そう言われ、もうこれ以上は無理だと悟り、私は父上の部屋を出た。
−−
父上もぺいんとも私のことを“お前”と呼ぶがその言葉に込められた温もりが私には違うように感じる。
彼が私を呼べば心が
そして勇気を貰える。
そんなことを考えながら、いつも話していた縁側に座る。
…諦めていいのだろうか。
…また此処で待っていれば会えるのだろうか。
私はここに座っているだけしか出来ないのだろうか…。
いや、違う。
ぺいんとはいつもこの庭の裏通路からやってきた。
私も家の者の目を盗めばここから外に出られる。
そうだ、ここから出ればぺいんとに会えるかもしれない。
動け私。
なんだか、二度と会えない気がする。
きっとこのままじゃ、後悔してしまう。
そんな気持ちだけを抱き、怒られることなど考えもしないうちに、私は外に出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 153人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
市(プロフ) - 今気づいたんですけど評価が赤色になってる!! やった!! (6月29日 21時) (
レス) id: 2b61322586 (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - 黒灰白有無％さん» 檸檬やっぱりいいですよね!! 自画自賛出来るほどこの作品は気に入ってます!! 続編も読んでくださり感謝感謝ですTT (6月29日 21時) (レス) id: 2b61322586 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無％(プロフ) - 本当にどれもいい話なんですけど 檸檬 が超好きです！個人的に転生後は幼馴染で戦争に行った時みたいに引越し(お別れ)になり今世では再開できる的なのを思い浮かべました!色々想像が広がりますし、本当にどれもいい話で大好きです！続編も続けて読めせていただきます！! (6月20日 2時) (レス) @page24 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - らいさん» 嬉し~です🥲ありがとうございますᐡ- -ᐡ (5月26日 0時) (レス) id: 2b61322586 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 檸檬本当にいい 最後の手紙でガチ泣いた (5月12日 19時) (レス) @page24 id: feb55afa1d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sumi | 作成日時：2021年6月23日 0時
