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劇は順調に進んでおり、音楽やセリフ、小道具もバッチリだ。
残すところは囚われたお姫様を助け出すシーンとなった。
私にとっても、皆にとってもここが1番大切なところ。
失敗する訳にはいかない。
『…』
s「Aちゃん、大丈夫ですよ。」
『しにがみくん…』
s「緊張してるのバレバレです。肩の力抜いてください。Aちゃんならきっと大丈夫です。」
しにがみくんの声はやっぱり安心する。
『ありがとう、しにがみくん。頑張ってくる…!』
s「…はい!」
−
k「姫…!」
『王子様…!』
取り敢えず最初のセリフは言えた…
あとは最後助けられて、キスをするシーンだけ。
何にも頭を整理して来なかったけれどきっとそれでいい。
何も考えずにしてる方がきっと、きっと上手くいく。
k「姫、助けに参りました。」
『ありがとう…!本当にありがとう…』
k「姫…泣かないで下さい。」
この後、この後私に近寄ってきて…
何も考えちゃダメ。無心で。頑張れ。きっと上手くいく。
カンッ
『…え』
舞台上が闇に包まれた。ライトが落ちたのか。
体育館にいる観客がザワついている。
ど、どうしよう…と思ったその時、私とクロノアさんにスポットライトが当たる。
予定ではこんなことは無かったはず…
演出を急に変えたのかな…
k「お姫様…」
『は、はい…』
脚本にはないセリフを言われて戸惑ってしまう
クロノアさんがこちらに近づいてくる、
k「お姫様。いや、Aちゃん」
『え…は、はい。』
k「俺、Aちゃんの事が好きです。」
「もし良ければ、俺と付き合って下さい。」
『…えっ、と…』
そう言われ、手を差し出される。
分からない、分からないけど、涙が止まらない。
観客からは甲高い声や冷やかしの声が沢山聞える。
よく見ればクロノアさんの顔は真っ赤で少し震えている。
思わずクロノアさんの後ろを見てみると、いつもの笑顔で頑張れ、とでも言っているような顔のしにがみくんがいる。
これは夢なのかもしれない。
それでもいいから私は貴方と…
『はい…!!』
私には夢がある、
王子様が馬に乗ってやって来て、私を拐ってくれる。
そんな夢。
でもこんな夢は幼い頃だけだった…、はず…
ーーーーー end
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市(プロフ) - 今気づいたんですけど評価が赤色になってる!! やった!! (6月29日 21時) (レス) id: 2b61322586 (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - 黒灰白有無%さん» 檸檬やっぱりいいですよね!! 自画自賛出来るほどこの作品は気に入ってます!! 続編も読んでくださり感謝感謝ですTT (6月29日 21時) (レス) id: 2b61322586 (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 本当にどれもいい話なんですけど 檸檬 が超好きです!個人的に転生後は幼馴染で戦争に行った時みたいに引越し(お別れ)になり今世では再開できる的なのを思い浮かべました!色々想像が広がりますし、本当にどれもいい話で大好きです!続編も続けて読めせていただきます!! (6月20日 2時) (レス) @page24 id: 00e0ebd256 (このIDを非表示/違反報告)
市(プロフ) - らいさん» 嬉し~です🥲ありがとうございますᐡ- -ᐡ (5月26日 0時) (レス) id: 2b61322586 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 檸檬本当にいい 最後の手紙でガチ泣いた (5月12日 19時) (レス) @page24 id: feb55afa1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sumi | 作成日時:2021年6月23日 0時