俺らが守るもの5

おやすみ期間 ページ38

勇太side

廉はとにかく頑張った。

あれから数日、俺らの前では一切弱音を吐くことなく


1週間の治療を乗り切った。


翔「じゃあ今日から1週間はおやすみ期間ね？」

廉「おん」

翔「副作用っていうか、薬の効果が身体から抜けきるまで、2・3日かかると思うけど、徐々に楽になってくから」

廉「ありがとう」


朝早くから、櫻井先生が家に来てくれて

廉の点滴を抜いてくれた。


翔「じゃあお父さん、よろしくお願いします」

優「はい、こちらこそ。ありがとうございます」


まだまだ廉の喘息が完治したわけじゃないけど、

廉の体力面や精神面を考慮した上での【おやすみ期間】


といっても、免疫がいつもよりも下がってる状態だから

学校などには通えず、家で来週分の治療の体力を溜める

っていうのが主な目的。


だからあまりお出かけは出来ないんだけどさ。


でも、ここ1週間

ずっとしんどそうな廉の姿ばっか見てた家族からしたら


腕に点滴が無くて、笑ってる廉の顔を見れる。

それだけでなんだか、嬉しくて幸せだった。



＊







＊




廉「なぁ翔ちゃん」

翔「ん？」

廉「今度の土曜さ、海人の試合があんねん」

翔「試合？」

廉「そう、学校の。観に行ってもええかな？」


免疫が低い廉は、普段

そういう人が多い所には極力いかないようにしてたし


俺らも自然と誘わなくなってた。


けど、今日初めて

廉が櫻井先生にそう頼んだ。


翔「試合か〜…どれくらいの規模？」

廉「えっと、学校の体育館やから、そんなに多くないとは思うねんけどさ」


いつも、廉の意見を尊重してくれる

櫻井先生も、ちょっと悩んでるみたいで

廉に何個か質問してて…


そんな廉も今回は本気で行きたいって思ってるのか

いつもならとっくに「ごめん、わがまま言って。今のは忘れて？」

ってお決まり文句のように言うのに

今日は全然言わなくて…それくらい海人の試合が見たいってことだよね。



＊






＊




暫く腕を組んで悩んでた櫻井先生。


翔「よし、いいよ。行っておいで」

廉「え、ええの？」

翔「うん、ちゃんとマスクしたり消毒とか徹底するっていう約束と、途中でしんどくなったら無理しないでどっかで休憩して。それでも回復しなかったら翔ちゃんとこに来れる？」

廉「守る」

翔「ならよし！」


けど許可を出してくれて凄く嬉しそうな廉。


でも何より1番嬉しそうだったのは海人だった。


ずっと言ってたもんね。

廉にぃに試合見てもらいたいって。

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