少しでいいから、【黄】

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目が覚めた時、外はもう暗くなっていて。


意識がはっきりしていく中、はこたろーが近くに居ないことに気づいて飛び起きる。


部屋中を見渡してもやっぱり居なくて……不安と孤独が私を襲う。


もう帰っちゃったの…？


すぐに枕元にあったスマホを手に取るけど、操作することなく元あった場所に置き直した。


………はこたろーも忙しいんだから。


グッと気持ちを押し殺してベッドにまた寝転んだ。涙が出てくるけどそれも無視して目を閉じた。



すると、ガチャンと扉が開く音が耳に入ってきた。



まさかと思って、見ると部屋着姿になってるはこたろーが扉から顔を出していた。


まだ居てくれたんだ。



「起きた？…ご飯作ったけど、食べる？」

『………うん、』

「どうかした？」

『…ううん。なんでもない』



心配そうに見てくるはこたろーに首を振ってベットから立ち上がる。



「なに？…いいよ、思ってること言って」

『…え？』



はこたろーは私の目線に合わせるように屈んで「今日くらい甘えたら？」と言ってくる。


今日くらいって……いつも甘えてばっかりだよ私。



「A」


そんな優しい声で名前呼ぶのやめてほしい。


気持ち的に弱ってるんだから、そんなに優しくされたら我慢なんて出来ないよ？
　

そんな意味を込めてはこたろーを見ると、「ん？」と首を傾げて優しく笑う。



『………今日はそばにいて欲しい、』



これが本音だけど、やっぱりどこか申し訳ない気持ちもあって語尾が小さくなる。


それもちゃんと理解して「悪いな、とか考えなくていいから。」と頭を撫でてくれる。



「見ての通り今日は泊まるつもりだよ」


あぁ、だから部屋着だったのか。



「だから大丈夫。今日はずっと居るから」

『……はこたろー、』

「ほら、早くリビング行こう。」



そう言って私の手を取った。


はこたろーの手がいつもより暖かくて大きく感じた。





それからご飯を食べ終えて、なんとなく二人でベランダに出て星を眺める。…小さい時よくこうやって一緒に空見てたなぁ。


「懐かしいね。A、よく空見て星がいないって拗ねてたよね。曇ってるから見えるわけないのに」


可笑しそうにはこたろーが笑う。



『なんでそんなこと覚えてるの…』

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