少しでいいから、【黄】

39 ページ39

…そっちへの謝罪か。


傷を抉られるようなそんな感覚だ。


謝られてるとはいえ、もう一度その言葉をはこたろー口から聞くのは中々辛い。


『あれは……結構傷ついちゃった、』


できる限り口角を上げる。


そうでもしないと、また泣いちゃいそうだから。


「本当にごめん。………関係ないなんて思ってないから」

『……ほんと？』

「本当。…ごめん、傷つけて。言い訳にしかならないけど、○○に振られて余裕がなくなってた。あれは八つ当たりだった…ごめん。」


しっかり目を見て謝ってくれるはこたろーに、また涙が出てくる。


この涙はホッとした涙だ。


…よかった。



私が近くにいることをあんまりよく思ってなかったのかな、とか。鬱陶しいとか思ってたのかな、とか。


いろんなことを考えて、苦しかった。



『私のこと、嫌いになってない？』

「嫌いになんてなれないよ」



そっか。ほんとによかった…。


…それが聞けたらもう十分。




『はこたろぉ、』


はこたろーに抱きつくと、優しく抱き返してくれる。



はこたろーの匂い、暖かさ。

誰と一緒にいるよりもすごく安心するの。



しばらく存在を確かめるようにずっと抱きついていたけど、はこたろーは何も言わずにただ背中をぽんぽんと優しく叩いてくれていた。


それに安心したのか、私はそのまま眠ってしまった。

40→←38

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す