38 ページ38
やっと出た声は、自分でもびっくりするくらい掠れてるし震えてるし。
きっと聞き取れてないだろうな。そう思ったけどはこたろーにはちゃんと届いてみたいで《…うん。》と短い返事が返ってきた。
そして《今Aの家の前にいるよ。》と優しい声が聞こえてすぐ私は玄関に向かって駆け出した。
壊しそうな勢いで扉を開けると、少しだけ気まずそうな表情のはこたろーがいて。
はこたろーは私の顔を見て安心したように小さく微笑む。
『っ、なん、で、』
「Aのお父さんとお母さんが仕事に戻ったって聞いたから、また一人で泣いてるんじゃないかって思って…」
来て正解だった、って眉を下げて笑うはこたろー。
会いたいって、そばにいてほしいって願えばいつも来てくれる。
私が辛い時はいつも一緒にいてくれる。
『ぅ、っ、』
どんどん好きになってくよ、はこたろー。
はこたろーが誰を好きでも私のこの気持ちが変わることはなくて、むしろこの気持ちが膨らんでいく一方で。
苦しいけど、一緒にいると幸せで。
もう私の中はいろんな感情でぐちゃぐちゃだ。
蹲み込んで泣きはじめた私に「A?どうしたの?腕痛い?」と心配してくれる。
腕は痛いけど……今痛いのは腕じゃなくて心だよ。
子供みたいに泣く私に何も言わず、ずっとはこたろー背中を撫でながら待っててくれた。
「一旦、中入ろう」
少し落ち着いてから、はこたろーに体を支えてもらいながら家の中に入る。
ここまで泣いたのは久しぶりで、少し恥ずかしさが出て下を向く。
少しの沈黙の後、私より先に「…ごめん」とはこたろーが口を開いた。
『それは……….なんの謝罪?』
私が襲われたから?
それとも………
「関係ないとか言って……ごめん」
はこたろーはもう一度、頭を下げて私に謝った。
213人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おゆき(プロフ) - ましろさん» コメントありがとうございます!あやかさん…私はおゆきと言います!よろしくお願いします(汗)少し最後は駆け足になりましたが、素敵な感想をいただいて無事に完結させることができました。ありがとうございました! (2021年6月13日 15時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - すごくきゅんとして、続きがとっても気になります!ゆっくり、あやかさんの無理のないペースで素敵な作品を仕上げていってください!すっかりファンなので、楽しみに待っています。 (2021年4月15日 16時) (レス) id: ee9621a8b6 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - るんさん» 見てくださってありがとうございます!少しずつになりますが、完結まで頑張って更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。更新楽しみにしてます!!! (2021年3月16日 22時) (レス) id: f14a3f6d70 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - ねこたろうさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます!少しずつ書き進めていくので気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年3月11日 7時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おゆき | 作成日時:2021年1月28日 23時