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……って。


気になんてしないか……私のことなんて。


…関係ないんだもんなぁ。


昨日言われたこの言葉を思い出して、またズンッと気持ちが重くなった。




「…本当に大丈夫?腕痛む?」

『あっ、いや!大丈夫っ』



心配そうに私を見る瀬口くんに首を振る。



「やっぱり今日は仕事休もうか」

「そうね」

『え、』


私と瀬口くんのやりとりを見て、そんなことを言い始める両親に焦る。



『ダメだよ!本当に私は大丈夫だから!』


怪我は腕だけだし、もう犯人が捕まったなら何も心配することなんてない。



『ほらほら、早く仕事に戻って!』

「でも、」

『家までちゃんとタクシーで帰るから!』


昨日襲われてすぐ駆けつけてくれた両親。これ以上は迷惑かけれない。

私ももう大人なんだし一人でも大丈夫だよ。



「本当に大丈夫なのか?」

「…心配よ」

『大丈夫大丈夫!ほら、なんかあったらはこたろーのところお邪魔するし!』


正直今ははこたろーのところには行けないけど…。


それからしばらく渋る二人を「大丈夫だから」と何度も説得して無理矢理仕事へ見送った。



「本当によかったの?」


私の気持ちを見透かしたように聞いてくる瀬口くんに頷く。


『お父さんもお母さんもいつも本当に忙しいの。そんな中、昨日から仕事を抜けて来てくれたんだ。これ以上、わがまま言えないよ。』


本心を言うとまだ外を歩くのも怖いけど、我が儘ばっかり言ってられない。しっかりしないと。


こう言う時は、いつもはこたろーが側にいてくれたのにな。…って、またはこたろーのこと考えちゃって落ち込んでる私。


すると、強がる私を見て何か考える素振りを見せた瀬口くんが突然「よし、家まで送る」と言い始めた。



『え?』

「いくらタクシーって言っても心細いだろ?家まで送るよ」


ここは『大丈夫』と言いたかったけど、今は誰かに一緒にいて欲しいという気持ちが強くて。



『…いいの?迷惑じゃない?』

「全然。むしろ久しぶりにAと話せるしラッキーって感じ」

『なにそれ』


へらり、と笑顔を向けてくる瀬口くんに思わず私も笑みが溢れた。

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おゆき(プロフ) - ましろさん» コメントありがとうございます!あやかさん…私はおゆきと言います!よろしくお願いします(汗)少し最後は駆け足になりましたが、素敵な感想をいただいて無事に完結させることができました。ありがとうございました! (2021年6月13日 15時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - すごくきゅんとして、続きがとっても気になります!ゆっくり、あやかさんの無理のないペースで素敵な作品を仕上げていってください!すっかりファンなので、楽しみに待っています。 (2021年4月15日 16時) (レス) id: ee9621a8b6 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - るんさん» 見てくださってありがとうございます!少しずつになりますが、完結まで頑張って更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。更新楽しみにしてます!!! (2021年3月16日 22時) (レス) id: f14a3f6d70 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - ねこたろうさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます!少しずつ書き進めていくので気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年3月11日 7時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おゆき | 作成日時:2021年1月28日 23時

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