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『はぁ、不味くても文句言わないでよ…』
何度目か分からない溜息を吐きながら、鍋をぐるぐると混ぜる。
シチューのいい香りが鼻を掠めた。
すると、トントンと階段の降りてくる音が聞こえてすぐ「いい匂いがする!」と部屋着姿のしるこ兄さんがリビングに入ってきた。
『シチューだよ』
「いいねぇ。…あれ、はこたろーは?」
『はこたろーなら〇〇さんとどっか行っちゃった』
「え、○○ちゃん?!?」
私の言葉にこれでもかってくらい目を開いたしるこ兄さんに「そうだよ」と頷く。
「……どうしたんだろう」
『仕事で近くまで来てたんだって。…顔見て話がしたかったって言ってた』
鍋から視線を離さずに言うと、しるこ兄さんが私の横に立ってお皿を渡してくれる。
『ありがと、』
「…大丈夫?」
『味は大丈夫だと思うよ。途中まではこたろーが作ってたし』
「じゃなくて!」
ぽん!と私の頭に手を乗せた兄さん。
反射的に顔を上げると、心配そうな顔をした兄さんが「Aは大丈夫?」と。
………大丈夫、か。
『大丈夫…………じゃない、』
今でも2人で何話してるんだろう…とか、直接会ってさらにはこたろーが好きになっちゃったらどうしよう。とか……不安しかない。
「そうだよね。」
よしよし、頭を優しく優しく撫でくれるしるこ兄さんに、涙が出そうになった。
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おゆき(プロフ) - ましろさん» コメントありがとうございます!あやかさん…私はおゆきと言います!よろしくお願いします(汗)少し最後は駆け足になりましたが、素敵な感想をいただいて無事に完結させることができました。ありがとうございました! (2021年6月13日 15時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - すごくきゅんとして、続きがとっても気になります!ゆっくり、あやかさんの無理のないペースで素敵な作品を仕上げていってください!すっかりファンなので、楽しみに待っています。 (2021年4月15日 16時) (レス) id: ee9621a8b6 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - るんさん» 見てくださってありがとうございます!少しずつになりますが、完結まで頑張って更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。更新楽しみにしてます!!! (2021年3月16日 22時) (レス) id: f14a3f6d70 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - ねこたろうさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます!少しずつ書き進めていくので気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年3月11日 7時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2021年1月28日 23時