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『懐かしいね、ここ』
「そうだね」
2人で目の前にあるシーソーを見ながら笑う。私が跨るブランコがギーギーと揺れたびに錆びれた音を響かせる。
ここは小さい頃によくはこたろーやしるこ兄さんたちと遊んでいた公園。
「A、よくここで泣いてたよね。………覚えてる?」
『………覚えてるよ、』
可笑しそうに私を見るはこたろーから視線を逸らした。
全部鮮明に覚えてる。
小さいときから喧嘩したり嫌なことがあるとこの公園で泣いていた私。
そんな私を迎えにきてくれるのはいつもはこたろーだったなぁ。
私のことなんて興味なさそうにしてるくせに、落ち込んでたり泣いてる時はいつも「大丈夫だよ」って優しく頭を撫でてくれてた。
それが目的で嘘泣きしてたこともあったなー、と昔を思い出して懐かしくなった。
「最近は泣かなくなったね」
『何歳だと思ってんの、』
さすがにこんなところで成人した女が泣いてたら変な目で見られるよ。
そう言うとはこたろーは「確かに」と笑った。
『…はこたろーは泣いていいよ』
「…はい?」
何を言ってるんだ、と不思議そうに私を見るはこたろーが横目で見える。
「泣くことなんてないけど」
『そう?…それならいいんだけど』
だいぶ以前のはこたろーに戻ったけど、時々見せる悲しそうな表情に胸が痛くなる。
『私、はこたろーと一緒にずっと笑ってたいと思う。でも、辛いこととかも話してほしいとも思う』
「…」
『なーんてね!』
こんなことを言ってるけど何があったのかは、ずっと聞けてない。それが悪い話でも、良い話でも、はこたろーの口から彼女の話を聞くことが嫌なんだ。
私って本当、矛盾だらけ。
心が狭いよなあ、ほんと。
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おゆき(プロフ) - ましろさん» コメントありがとうございます!あやかさん…私はおゆきと言います!よろしくお願いします(汗)少し最後は駆け足になりましたが、素敵な感想をいただいて無事に完結させることができました。ありがとうございました! (2021年6月13日 15時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - すごくきゅんとして、続きがとっても気になります!ゆっくり、あやかさんの無理のないペースで素敵な作品を仕上げていってください!すっかりファンなので、楽しみに待っています。 (2021年4月15日 16時) (レス) id: ee9621a8b6 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - るんさん» 見てくださってありがとうございます!少しずつになりますが、完結まで頑張って更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。更新楽しみにしてます!!! (2021年3月16日 22時) (レス) id: f14a3f6d70 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - ねこたろうさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます!少しずつ書き進めていくので気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年3月11日 7時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2021年1月28日 23時