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「Aちゃんが決めたことなら私がとやかく言う筋合いないけどさ……………後悔だけはしないようにね」
『……ありがとうございます。』
「じゃあお疲れ。気をつけて帰ってね」
『先輩も。…お疲れ様です』
先輩と職場の前で別れて、鞄からスマホを取り出した。
時間はもう21時過ぎていた。
家に向かいながらも「今日も電話してるのかな、」とまた気づけばはこたろーのことを考えてる。
諦めるにはかなり時間が必要だな、
なんて考えてたその時だった、今まで私の足音しか響いていなかったのにコツン、コツン、と別の足音が聞こえてきた。
そこでふと先輩が不審者について話していたことを思い出した。
若い女が狙われてるって言ってたよね………。
いや、まさか、そんな。
少し歩くスピードを速めると、同じように後ろから聞こえてくる足音も速くなる。
初めは、特別一通りが少ない道でもないし気のせいでしょ。そう思ったけど…….これはやばいかもしれない。
振り返って確認しようか……?被害妄想だったら、それはそれでいいし。
でももし振り返ってすぐ襲ってきたら……そんなことを考えると強く心臓を掴まれるような感覚に襲われた。
一気に押し寄せる恐怖に私は地面を思いっきり蹴った。
こんな時間に走ってる成人女性なんて側から見たら変人だろうけど、そんなことはどうでもいい。早く安心できる場所に行きたい。その一心で私は足を動かした。
『やだっ』
ここで足音が離れていけば私の考えすぎだったんだって思えたのに、後ろから強く地面を蹴り付けたような音が聞こえた。
足がもつれて転びそうになりながらも何とか足を動かす。止まったらやばい。そう私の本能が言ってる。
『は、こたろっ…!!』
徐々に近づいてくる足音が、今まで味わったことがないくらいの怖さで、思わず彼の名前を口にした。
でも後ろの足音と気配はもうすぐそこまで来ている気がして、もうダメかも…と涙が出てきた時だった。
「A!」
暗い道の先で、こちらに向かってくる人影が見えた。
私の元へ駆け寄ってきた人影は街灯に照らされ、その姿がはっきり見えた。
間違いなく目の前にいるのははこたろーで。
『はこたろっ、』
安心して私の目から一気に涙が溢れ出した。
私、泣いてばかりだ。
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おゆき(プロフ) - ましろさん» コメントありがとうございます!あやかさん…私はおゆきと言います!よろしくお願いします(汗)少し最後は駆け足になりましたが、素敵な感想をいただいて無事に完結させることができました。ありがとうございました! (2021年6月13日 15時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - すごくきゅんとして、続きがとっても気になります!ゆっくり、あやかさんの無理のないペースで素敵な作品を仕上げていってください!すっかりファンなので、楽しみに待っています。 (2021年4月15日 16時) (レス) id: ee9621a8b6 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - るんさん» 見てくださってありがとうございます!少しずつになりますが、完結まで頑張って更新していきます!ありがとうございます! (2021年4月15日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
るん(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。更新楽しみにしてます!!! (2021年3月16日 22時) (レス) id: f14a3f6d70 (このIDを非表示/違反報告)
おゆき(プロフ) - ねこたろうさん» ありがとうございます!嬉しいお言葉ありがとうございます!少しずつ書き進めていくので気長に待っていただけると嬉しいです! (2021年3月11日 7時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2021年1月28日 23時