ダメ女と女子力男子【灰】

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「………なんか、あったの？」


あんたのせいだよ。…なんて、言えるはずもなく。



『何もーーー』

「だから、嘘つくなよ」



そんな辛そうな顔してさ、って眉を下げて笑う。




『………かるてっとさんの、ばか、』


何もない。その言葉も言わせてもらえないから、『ばか、ばか、ばか、』と何度も吐き出す。



そんなに優しい顔で、優しい言葉を並べないでよ。勘違いしちゃうから。


触れられてるところが熱い。



「うん、俺馬鹿なんだよ。Aがなんで落ち込んでるのか分かんねぇの。だから、ちゃんと言葉にして教えて？」




私のほっぺから手を離して、ぽんぽんと頭を撫でる。


やっぱり慣れてるなぁ。…マフラーをあげた人にもこうやって優しくしてるのかな。



……….あぁ、まただ。

この真っ黒な感情。嫌な感情。



……私は一生、かるてっとさんの隣にいる女の人を想像して、悶々と過ごすの？


相手の女の人とかるてっとさんがどういう関係なのかこのまま聞かなかったら、ずっとモヤモヤする日々は続く。でも聞いて「好きな人」そう言われても辛い。


……どっちもしんどいのは変わらないじゃん。


それなら、私は、



『………マフラー、』

「え？」

『プレゼントした人と、どういう関係なの？』




今度は真っ直ぐかるてっとさんの目を見ることができた。


「……え？」



何度も瞬きをするかるてっとさんが珍しくて、なんだか新鮮な気持ちになった。


だけどそれはほんの一瞬だけのこと。




「妹だけど」

『へ』


それがどうかした？と首を傾げるかるてっとさんに、今度は私が何度も瞬きを繰り返す。



……妹？


ま、待ってよ。


嘘でしょ。…私は妹さんに嫉妬してたってことになるけど。



……まじで？




『ああああああ、』

「ん？」

『………ごめん、気にしないで、』



思わず頭を抱えた。あんなに落ち込んで、みんなにも相談したのに…嫉妬してた相手は妹でしたってそんな恥ずかしいことありますか？？


ーーーー私は貝になりたい。

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