ダメ女と女子力男子【灰】

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『部屋は………散らかってるよ』


「はいはい、そんなの聞く前から分かってるよ。じゃあまた飯作ってから部屋片付けに行ってやるから」


『………別にご飯も掃除も何もしなくていいよ。』




掃除も料理も嬉しいけど、今はそんなの望んでない。




ただ、


『顔見せてくれるだけでいい』


「………どうした？まじで酔ってね？」




立ち止まって心配そうに私を見たかるてっとさん。


……今度はちゃんと顔を見れた。
　


近くで見ると余計にわかる。珍しく目の下にクマができてる。忙しくて眠れてなかったんだね。




やっと帰ってこれたのに、おんぶなんてさせてごめんね。

早く帰って休んで。



ーーーそんな言葉が浮かんでくるけど、それよりも先にずっと望んでたことが口から溢れた。




『Aって呼んでよ。』

「え？」

『なんでずっとAちゃんって呼んでるん？』

「何言、」

『距離あるみたいで……寂しい、やん………』




めっちゃびっくりしてる。


今まで見たかるてっとさんの中で、一番目を開いてるなぁ。少しだけ優越感。





ーーーあぁ、ダメだ。寝ちゃう。



ぼやける視界に、下がってくる瞼。



まだ寝たくない。話してたいのに、体は素直だ。




ここで私の意識は完全に途切れた。





「……可愛いかよ、」


かるてっとさんの口から出たこの言葉が、私の耳に届くことはなかった。





ーーーーそして次の日。


おんぶしてもらったところ辺りからの記憶が全てが綺麗さっぱり無くなっていた。ウケる。

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