何でも屋BinTRoLL

壁 ページ23

しるこside





し「ただいまーーー！暑い！無理！疲れたっ」



俺は、滑り込むように家に駆け込んだ。


外は日に日に暑くなっていて、ほんと嫌になる。




家の中はクーラーがしっかり効いていて、体が生き返っていくのが分かる。



なんで、こんな季節に【野外ライブの警備】なんて仕事を引き受けてしまったんだ………とライブ会場に着いてから後悔した。


ヒリヒリする顔と腕。見なくても焼けて真っ赤になってるのが分かる。とりあえず氷で冷やそう、とキッチンに向かおうとした時、後ろから「しー！」と声が聞こえた。



見るとソファーに座ってるかるてっちーが、俺に向かって「静かにして」と口に人差し指を当てていた。


口を押さえて近寄ってみると、かるてっちーに寄り掛かって眠るAの姿があった。



し「ソファーで寝ちゃうの珍しいね」



Aを起こさないように小声で話す。



か「疲れてたみたいです」



そう言ってAの顔にかかる前髪を優しくよけてあげるかるてっちーは、何とも言えない表情をしていた。



その表情の原因は、最近のAの行動からだろう。



最近のAは朝は誰よりも早く起きて仕事に出て行って、夜は一番帰りが遅い。なのに、まともにご飯も食べずに仕事以外の時間はずっと部屋にこもって何か調べ物をしているみたいで。


いつ寝てるの？って不思議になるくらい働き詰めの生活を続けてる。


一緒に暮らしていても分かるくらいどんどん痩せていってて、顔色も悪くなってる。心配しない方がおかしいくらい。正直、見てるこっちが辛い。


普段家にいる時も仕事中もAは依然と何も変わらない様子だけど、たまに見せる辛そうな表情はなんなんだろう。

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