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一対一か。いくら戦闘が不得意ないちはちさんでもやられることはないだろうけど、あまりこの状況は宜しくない。
やっぱりここは……。と、ポケットに入ってあったスイッチを押した。それと当時に、外からバン!!!!と大きな爆発音が響く。
「なんだ?!?!」
予想通り、爆発音に反応して私の近くにいた男が外に飛び出していった。
うまくいったか。
私も今のうちに外に出ようと、立ち上がった瞬間、後ろから腕を引かれてぎゅっとそのまま抱きしめられた。
再び段ボールに身を隠すように座り込む。
抵抗しなかったのはふわっと感じたよく知った香りと、手が隠れるほどの長い袖が目に映ったから。それは確実に彼だという証明。
『いちはちさん?』
小声でそう尋ねると「うん」と小さくいつもの低い声が聞こえてきた。
すると、「おい、どうした?」と二階に行ったはずの男が私たちが隠れている段ボールの前を通り過ぎて行った。
あのまま飛び出してたら確実に男とご対面してたわけだ。……危なかった。ヘマしてるのは私の方じゃん。いくらオフだったとはいえ今日は気が緩みすぎてる。
い「よし、今のうちに出るよ!」
犯人2人が外に出たのを確認して私たちも気づかれないように外へ飛び出した。
いちはちさんのお陰でUSBを取り返し、男たちにバレずに逃げ出すことも成功した。
後々聞くと、二階から聞こえた音はいちはちさんがわざと持っていた小型爆弾を爆発させたからで。爆発した時にはいちはちさんは一階にいて隠れていたらしい。
今日の私、本当に何の役にも立ってないな。
『いちはちさん、ごめんね』
少し前を歩くいちはちさんに謝ると、「なんの話?」と首を傾げた。
『私居ない方がUSB取り返すのスムーズに終わったんじゃない?』
そう言う私にいちはちさんは首を振った。
い「Aがいるのといないとじゃ全然違うよ。居てくれた方が安心して自分の仕事ができるからね」
『そうなの?でも、さっき止めてくれてなかったら面倒なことになってた』
い「あーあれね。そういう時もあるよ。ていうか俺こそごめんね。焦ってたとはいえ、抱きしめちゃって…」
『何とも思ってないから大丈夫だよ』
い「それはそれでちょっと傷つくけどね」
あはは!と笑ういちはちさんに私も笑い返した。
本当はちょっとだけドキッとしたけど、
ーーーーそれは私だけの秘密ね。
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ゆうきん(プロフ) - 狼谷さん» いつも読んでくださりありがとうございます。リクエストもありがとうございます。参考にさせていただきます! (2021年1月2日 17時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
狼谷 - はじめまして!いつ者です読んでいますめちゃくち大好きです!リクエストなのですがしるこさんと一緒に恋人の振りをして浮気調査するのはどうでしょうか?これからも応援しています! (2020年12月13日 23時) (レス) id: 3f56a3b857 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきん(プロフ) - すずらんさん» ありがとうございます…!嬉しいです。徐々に恋愛の方にも寄せて行こうかなと思っています。 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん - このお話大好きです!恋愛方面にも期待しちゃっていいですか? (2020年8月23日 21時) (レス) id: 930f05f5ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきん(プロフ) - あめさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!!マイペース更新ですが頑張ります! (2020年8月23日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年8月13日 10時