いちごジャム ページ21
はこたろーside
『はこたろーさん、いちごジャム作って』
両手いっぱいに苺を持って僕の部屋に来た彼女は、いつもより少し可愛らしく見えて一瞬言葉に詰まった。
は「……ジャム?」
『うん、ジャム作ってほしい。……じらいちゃんといちご狩り行ってきたんだけど、全然食べれなくてさ』
は「それで持って帰ってきたの?」
『うん。いっぱいあるから半分は違う食べ方したいなーって言ったら、しるこさんがはこたろーならジャム作れるよって教えてくれて』
今忙しい?と首を傾げたA。
一度自分の部屋の中を見る。机の上に溜まった仕事の山。思わず溜息をつきそうになった。
朝起きてからずっと片付けてるのに一向に終わる気配がない。
BinTRoll内での俺の仕事は作戦を考えること、そして危険度の高い仕事へ当たる場合のインカムでの指示など。
あとは事務仕事全般。たまに誰かに手伝ってもらうこともあるけど基本は1人でやっている。
俺以外のメンバーは体を張って危険な仕事に出ている。最悪の場合命を失う可能性だってある中、自分は現場へ行くことはなく、安全な場所で指示をしてるだけ。
だからこそ裏方の仕事を出来るだけやりたい。なるべくみんなの負担をなくし、サポートができるように。
そう思っていても、自分にも限界があるわけで。ここ最近仕事三昧で少し疲れが出てきたところだった。
『…何か手伝おうか?』
それを察してかAが心配そうな表情を浮かべる。
は「大丈夫。ありがとう」
『なんかあったら言ってね?』
そう僕のことを心配するAも、最近目の下のクマが目立つ。夜な夜なトイレに向かうと、ほぼ毎日Aの部屋の明かりがついてた。
そしてパソコンのキーボードを叩く音が廊下まで漏れていて、夜遅くまで調べ物をしてるようだった。
それに加えて最近普段の倍近くの仕事を引き受ける。それも危険な任務ばかりで、軽い怪我をしてくる回数も増えた。帰りを待つこっちとしては、いつか大怪我をするんじゃないかって気が気じゃない。
そう思ってるのは俺だけじゃなくて他のメンバーも、かなり心配している。
でも声をかけてもAは「大丈夫」と笑うだけ。そう言われると「気をつけて」くらいしか言えなくなる。
この間も、何か調べてるのかと兄さんに聞かれた時、「何も?」と目を逸らした。触れて欲しくない…そんな表情だった。
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ゆうきん(プロフ) - 狼谷さん» いつも読んでくださりありがとうございます。リクエストもありがとうございます。参考にさせていただきます! (2021年1月2日 17時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
狼谷 - はじめまして!いつ者です読んでいますめちゃくち大好きです!リクエストなのですがしるこさんと一緒に恋人の振りをして浮気調査するのはどうでしょうか?これからも応援しています! (2020年12月13日 23時) (レス) id: 3f56a3b857 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきん(プロフ) - すずらんさん» ありがとうございます…!嬉しいです。徐々に恋愛の方にも寄せて行こうかなと思っています。 (2020年8月24日 12時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
すずらん - このお話大好きです!恋愛方面にも期待しちゃっていいですか? (2020年8月23日 21時) (レス) id: 930f05f5ac (このIDを非表示/違反報告)
ゆうきん(プロフ) - あめさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…!!マイペース更新ですが頑張ります! (2020年8月23日 14時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年8月13日 10時