おやゆびひめの日々 2

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21「ふんふふふん、ふふんふふ〜ん」
27「ご機嫌だな、今永」
21「ふふん、ふん、ふふ〜ん」
「え、聞こえてないの、今永くん？」
21「ふふふふふ〜ん」
47「聞こえてます、って言ってます」
「これ通訳いるの？今永語？」

ベイスターズやっぱやべぇわ、なんて言ってくる悠平さんを一睨みしてから、今永くんに落ち着きなさい、と声をかける。君のそのダンス、もしかしたら全国放送されるかもしれないから。

21「Aさん、すみません、もう水しかないです」
「まるで私がシャンパン乞食してるみたいな言い方やめてくれるかな」
21「水でいいですか？」
「それチェイサーだから、人に掛ける用じゃっ……って冷たい！」
21「あはは、気持ちいいですねぇ」

なんだって今永くんまでこんなにド畜生。お酒の力は怖い。今永くん絶対酔ってるもん、顔真っ赤だもん。

14「あ、今永さんだ！エース、エース！」

私が水を掛けられているのはガン無視で、今永くんを弄り始めたのは令和の怪物こと、佐々木くん。そうだろうそうだろう、今永くんはエースなんだよ。分かってるじゃないか。

21「やめろ、やめろ！」
「世界の佐々木にエースなんて言われちゃってまぁ」
21「やめて、やめて！」

照れるなって、今永くん。弄って悪かったから、追いで水掛けるのはやめてもらいたい。冷たいんだよ、それ。

14「俺しかいないって！決勝の先発俺しかいないって言ってました！」
27「これ絶対放映されて欲しい」
47「分かります、絶対流して欲しい」
「駄目、うちのエースが実は馬鹿ってバレちゃう」

折角、投げる哲学者なんて面白い2つ名をいただいているのに。まぁこれまでも言葉の節々にアホの子成分は結構含まれてたんだけど。

63「え、今永さんバカなんですか」
21「うちのトレーナーの言うこと真に受けないで」

私の発言に食いついてきたのは、横にいた颯一朗くん。というか今永くん、その真に受けないで、ってどういう意味かな。君、もしかしてだけど私の話、いつも話半分にしか聞いてないってこと？

「まぁ今永くんのはあとでちゃんとお話するとして……なんでシャンパン塗りこんでんの、颯一朗くん」
63「なんかいいかなって」
「シャンパンは美容液かなにかなの？」

いくら吹田の主婦だからって、その美容法は最先端すぎない？なんか両腕に塗りこんでるし。

63「勝った時の酒塗ってたら、シーズンも勝てるかなって」
21「お、それいいな」
14「いいっすね、俺もやろ」
「発想がアホの子……」

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