おやゆびひめの日々

びしょ濡れヒーロー　3/21 ページ46

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9回、1点ビハインド。1人でも帰って来れば延長、2人帰って来れば逆転勝ちのこの場面で、先頭は翔平くん。ここまで来たら私に出来ることは無いに等しい。両手を合わせて祈るだけだ。

「頑張れ……」

頑張れ、頑張ってるのは知ってるけどそれでも頑張れ。結果が全てのこの世界、負けて叩かれる子を何人も見てきた。この最高のチームで叩かれていい子なんて1人もいない。
だから勝って。勝って、このチームは凄いんだって言わせて。


『いった！大谷！起死回生のツーベースヒット！』


「やった……！」

ヘルメットを投げ捨てて走り、塁上で吼える翔平くんに思わず涙が零れそうになる。まだ、まだ堪えるんだ、私。ここから、ここからだぞ。

吉田くんがフォアボールで出塁して、指を指した先には村上くん。1次ラウンドからイマイチ調子が上がらずに下を向くことも多かったけど、城石コーチに言葉を掛けられた後の彼は雰囲気が違った。もしかしたら、いけるかもしれない。


『伸びろ、伸びろ！落ちたー！村上！サヨナラなるか、周東が走る！走る！』


「周東くん、周東くん！」

正尚くんに変わって一塁ベースに送られていた周東くん。どの試合でも、終盤に裏でしっかりアップをしていた彼が、ようやく日の目をみる。
2塁の翔平くんを追い越さんばかりのペースで走り抜けていく周東くんに、ベンチから割れんばかりの歓声が送られる。

「水！水！！」
「来い！行けるぞ周東！」
「いけ！いけ！！」


『周東帰ってきた！日本、サヨナラー！！』


「やったぁ！」

3塁を回る頃にはもう大半の選手が飛び出していて、、翔平くんと大差なくホームベースを踏んだ周東くんを出迎えた。
そして何よりずっとずっとお眠りさんだった村上くんのところへ、ペットボトル片手に走り出していく。

89「よしよしよし！」
79「やりましたね」

コーチ陣も、選手ほどの爆発っぷりじゃないけど、喜びを抑えきれないといった様子で握手しあっている。やっぱりサヨナラ勝ちっていいなぁ。ドキドキも凄いけど、その分勝った時の興奮もひとしおだ。

55「あ〜、濡れた！」

お祝いの水でびっちゃびちゃになった村上くんは、まだ興奮冷めやらぬといった感じ。あぁ、久しく見てなかった村上くんのいい笑顔！

「おかえり、村上くん。そしておはよう！」
55「はい！おはようございます！」


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このサヨナラ最高すぎました！ シーズン中も同じような勝ちがいっぱい見たいです……🥹🫶🏻

あと1話です！

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