おやゆびひめの日々

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この後少しだけ仕事をする予定だから、私はワイングラス3杯ぐらいで辞めたけど、みんなは結構なペースでグラスを開けている。

「君たち、明日移動だけど大丈夫なの？」
「だいっじょ〜ぶ！」
「全然大丈夫じゃなさそう」

顔を真っ赤にしてピースしてくる人間のどこをどう信用するというんだ。ちなみに、もう片方の手にはしっかりグラスが握られてる。酒カスここに極まれりって感じだな。
ちらりとピッチャー陣の方を見れば、年齢層が低いせいもあってか、比較的良心的な飲み方をしているみたいだった。そんな様子に安心していると、輪の真ん中にいれダルさんにちょいちょいと手招きをされた。

「どうしました？」
「そろそろ解散にしようかって思うんだけど、タクシーとか呼んでもらってもいい？」
「はい、勿論です。店員さんに聞いてきますね」
「ありがとう」

う〜ん、紳士。流石はチーム最年長。そこで潰れかけてる酔っ払いどもは全員、酒を手放して、ダルさんの爪の垢を飲んでくれ。

配車を手配して、ちょっと外の空気を吸ってから戻れば、狭い部屋の更に狭い方へとみんながぎゅうぎゅうになっていた。一瞬、おしくらまんじゅう？なんて思っちゃったけど違いますね。この人数のむさ苦しい男どもによるおしくらまんじゅうとか見たくなさすぎる。

「写真？誰ので撮ろうか」
「Aちゃんのでいいよ」
「はぁい、分かりました」
「Aさんは〜？」
「私は入らないよ。ほら、並んだ並んだ」

わざわざ店員さんを呼ぶのも面倒だし、そもそも一介のトレーナーがここに写るってのも変な話でしょ。私は君たちのインスタには載らない、出来ればジャパンの公式にも載りたくない。優さんがいる限りそれは無理そうだけど。

「ほらほらもっと楽しそうな顔しなさい！岡本くん顔が固い！近ちゃんは適当すぎ！」
「うっす」
「うっ〜す」
「あぁもう駄目だ、グダグダだ。はい、もういいね、写真撮りますよ、『アイラブ〜』？」
「「ヨコハマ〜！」」
「って、あ」


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