おやゆびひめの日々 3

雨の日は映画でも　6/2 ページ22

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新幹線が止まったなんてニュースも入ってくるレベルの大雨。これはまぁ無理だろうな、と室内練習場にいるみんなが思っていたところに入ってきた中止連絡。

「この雨じゃねぇ〜中止だよね〜」
L6「そだね〜」
「うわっ！びっくりしたぁ……」

なんでこっち側の室内練習場に源田くんが。にこにこと人好きのする笑みを浮かべているのはいいとして、どうしてここに。

L6「どうもどうも、ちょっとご挨拶に」
「あ、ごめん、牧くんたち行ってなかった？」
L6「いや、まだ早いし、外練ないしいいよ。俺が話したくて来ただけ」
「じゃあ呼んでこようか」
L6「え？違う違う、話したかったのはAさん」
「……私？」

はぁ、と首を傾げれば、何が面白いのかくすくすと笑われた。とりあえずその萌え袖やめよっか？女子高生かな？

L6「連絡、くれてたでしょ？あれ、結構ありがたかったんだよね」
「あんなの大したことじゃないよ」
L6「あれを大したことないって言えるAさんが素敵」
「褒めれちゃった」

本当に大したことはしてないんだけど。別に実際に源田くんのところに行って手当てしてあげられるわけでもないし、ちょくちょくしてた電話も大したこと話せてないのに。

「じゃ、改めて。復帰、おめでとうございます」
L6「お、ありがとうございますっ」
「うちとの試合はほどほどに頑張ってください」
L6「じゃあ全力でやらせてもらいます」

あれ、話が通じてない？ほどほどって言ってるでしょうが。この間の伊織くんと言い、最近の選手たち、みんな生意気度が増してない？それとも私が舐められてるだけ？

「むぅ……」
L6「あはは、変な顔」
「え、嘘、どんな顔？」
L6「『舐めてんじゃねーぞ、ガキが』の顔」
「え、治安悪すぎない？」

そもそもそれってどんな顔？気になりすぎて、スマホを鏡代わりにしようと取り出せば、ちょうど通知がぽこんと鳴って画面が光った。

「あ、カメラさん」
L6「いい加減名前覚えたげて？」
「いいじゃん、あの人もそれで満足してるし」

侍ジャパンに専属カメラマンとしてずっと付いていたあの人からの連絡だった。今更、一体なんの連絡？あの人からの連絡、大概動画にたまたま映ってた私の醜態だから嫌なんだよなぁ。




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