及川徹 × 理科室 ページ3
「やっほー☆突然だけど、おっじゃまっしまーす！！」
「え、及川先輩？？」
こんなに珍しいことってあるものだろうか。愉快な挨拶とともに、ここ、理科室へ入ってきたのは、我が校のスーパーアイドル及川徹さん。それより、今は部活中なのでは？
「あ、の、理科室に何か忘れ物でも･･･？」
そうでもなければ、こんなところにわざわざ来る意味が分からない。
「科学部なんて珍しい部活入ったね。」
「あれ、無視ですか？？」
ウインクつきのうへぺろ☆ピースで返された。
悔しいけど絵になる
「まあ、私には最適の部活なんで。薬学部に行きたいんです。」
「かっこいいじゃん！それで今、何作ってるの？」
「あぁ、惚れ薬を開発してて。」
バカげた事をやっていると思われるかもしれない。でも、誰もできない事をやってみたい、そう思うのは、研究者の性ではないだろうか。まあ、私はまだ研究者の卵の卵だけどね。
「へぇ、試してみていい？」
手に持っていたビーカーの香りをかいだ瞬間、彼の表情は変わっていた。
獲物を狙う、野獣の目。ビーカーの割れる音が響く
私の両手は彼の片手で束ねられ、頭の上に固定されていて、そしておまけに…唇をふさがれている。もちろん、その、及川さんの唇で。
「せ、成功！？」
唇が離れた瞬間、私は思わず喜びの声をあげた。その声を聞いて呆れ顔なのは、及川先輩。
「あのさ、この状況のこと、本当に惚れ薬のおかげだと思ってるの？」
「違うんですか！？」
「惚れ薬なんて、この世に存在するわけないじゃん。」
その言葉に、私はムッとした。なんで決めつけるんだろう
「わ、私が開発してみせます！今回はダメだったのかもしれないけど！いつか、必ず！」
予想外の発言だったのか、少し面食らって大きく目を見開いた彼。
「あ、あの、どうかしましたか？」
「いや、科学部、か。最高じゃん。また来るね！」
「え、あ、は、はい･･･？」
よく分からないまま、去っていった彼に疑問符を浮かべながらも、先ほどの色っぽい表情に謎の胸騒ぎを覚えたAだった。
そしてこちらは、理科室前の廊下。そこには先ほどのアイドル先輩が、ドアにもたれかかって何やらため息をついていた。
「鈍感すぎる子は困っちゃうね。ほんと」
_____一目見たときから惚れてるっての
【及川徹×理科室】
(君の存在自体が惚れ薬、なんてね)
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作者名：和紗
| 作成日時：2016年5月22日 15時
