DRAMATIC 7

: ページ37

.



手が伸びている先を確認すると「もう帰ってええよ」と大きく欠伸する晃一で。


「なにその使い捨て感覚！引くわー！」
『…まぁ、手伝ってくれたんだからゆっくりし…痛っ、』

私の言葉を遮るように握っていた手を離したかと思えば手の甲をつねってくる晃一。
思わず 何するん、と声に出さずに口を動かすと「うっさい」と肩肘ついてそっぽを向いた。

「ほんと可愛げなくて困るでしょ？」
『晃ちゃん天邪鬼だからね、』

そう笑って返すと「俺ならそんな回りくどい事しないけどな〜」と呟いて、にこにこしながら空いている手に自分の指を絡めて繋いでくる祐基くん。払おうとしても力が入っているのかビクともしない。

「全部聞こえてんで？」

むくっと上体を起こして祐基くんを睨む晃一が「会うたび口説きやがって」と一蹴りしたのを皮切りにこたつの中で小さな戦争が始まった。


『そもそも晃ちゃんが呼んだんでしょ』
「そうだそうだ！」

絡ませていた指もすっかり忘れてヤジを飛ばす祐基くんを見て、ここぞと言わんばかりに私の身体を自分の方へ引き寄せる晃一に「…無防備すぎやねん、アホ」と呆れた顔で額を指で弾かれた。



こたつは人を積極的にさせる能力でもあるのか、
(「ていうか、はよ帰れや」「やだ！リア充爆発しろ！」)

.

おまけ→←1号車と5号車とこたつの魔法

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す