DRAMATIC 7

4号車に好きと言われたい ページ4

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彼は滅多に「好き」と言わない。記念日にも二人で過ごす夜でさえも数えられる程度言われたくらいで、普段からイメージ通りのツンデレ。別に毎日言われたいわけではないけど、大切な日くらいは言って欲しいし、言われないと不安に思う日もある。


『逆にどうしたら言ってくれる？』
「…は？え、なに、急に」

ぺらぺらと雑誌をめくっていた手を止めてこちらに顔を向ける拓弥。ツンばかりじゃどうにもならない事もあるんだぞ、そう思いながら目を丸くしている彼を見る。


『…ちょっと顔洗ってきます』

状況が読めない彼は「あぁ…はい。どうぞ。」と洗面所の方に手を指しながら私を見送る。
なんで洗面所に来たかって、言ってもらえない理由を考え始めたらどうにもいい答えが浮かばない上に、なんだかやるせなくなって視界が歪み始めたからだ。


「A、」

顔を流し終え、タオルで顔を覆った瞬間声がして思わず肩が跳ねる。恐る恐るタオルをずらすと鏡越しに壁にもたれかかりながら腕を組む彼と目が合った。


「まぁ、見当はつくんだけどさ、」

そう言いながらこちらに歩み寄ると、私の頰を両手で挟むようにしたまま軽くキスして「好き」と小さく呟いた。

「言わなくても伝わってると思ってた」
『…思ってるならちょっとは言ってください』
「んー、どうしよっかなー。」

へへっと笑いながら「気が向いたらな」ともう一度キスして頬を挟む力を強めると、「ぶっす〜〜」なんて馬鹿にし始めたもんだから嬉しいのか腹立つのかなんとも分からない感情になったのは言うまでもない。


好きと言ってくれ！！
( 思うだけじゃ足りない時もあるんだよ )

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