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1号車はクマもどき ページ23

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彼にどうしても着てほしい服がある。
ふわふわで、あったかくて、それはもう抱きつきたくなるようなクマの着ぐるみパジャマ。
去年の暮れにプレゼントで買ったもののお互い仕事で忙しかった事もあり、渡せず仕舞いでクローゼットの奥に眠ったまま。


「Aー、」

どの辺にしまったかなぁ、なんて思い出していたところに、たまたまクローゼットを開けて探し物をしていた彼に呼ばれた。−− 訝しげに手に持っているそれは、まさに私があなたにあげたかった物。

『それね、晃ちゃんにあげたかったやつ』
「なんなんこれ、」

怖いわ…、と続けて ' HAPPY HOLIDAY! ' の文字が踊る包装紙をビリビリと雑に破くと恐る恐る中を覗いて ぶっ、と吹き出した。

「これ着ろって?」
『…ハロウィンもすぐだし、』
「あっ、仮装で?普段着違うくて?」

そう言ってひとしきり笑うと、「着てくるわ」と洗面所へと消えて行った。


「じゃーん!」

ソファーの上で両膝を抱えて待っていた私の前に、効果音付きで現れた晃一、もとい、クマ。クマ耳のフードを被って「どう、似合う?」なんて笑いながら丸い尻尾の付いたお尻を向けてフリフリしている。

『似合ってる!』
「えー、うそ、ほんまに?」

複雑やわ〜、と隣に腰掛けてこちらを向いたかと思えば、ソファーの隅に追いやって「食べちゃうぞぉ!」と覆い被さる。


しばらく脇腹をくすぐられ、落ち着いた所で『…食べていいですよ』とだけ返して彼の首元に両手を回すと、耳まで真っ赤にした彼に「知らんからな」とぶっきらぼうに口付けられた。


( 獣になりきれない彼がどうしようもなく愛しい )

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設定タグ:超特急 , 8号車 , 短編   
作品ジャンル:タレント
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sheep(プロフ) - りんさん» ありがとうございます(*´ω`*)気まぐれ更新で申し訳ないです…!頑張ります! (2017年11月11日 1時) (レス) id: 4d3ab07cfa (このIDを非表示/違反報告)
りん - すごく素敵です!続き期待してます! (2017年11月9日 19時) (レス) id: 6430758306 (このIDを非表示/違反報告)
sheep(プロフ) - 福田キャットさん» コメントありがとうございます( ; ; )うれしい…!そう言って頂けると益々頑張れます!ありがとうございます( ; ; ) (2017年10月24日 1時) (レス) id: 4d3ab07cfa (このIDを非表示/違反報告)
福田キャット(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらっています!これからも頑張ってください! (2017年10月23日 21時) (レス) id: 02d1fbcb72 (このIDを非表示/違反報告)
ネオンガール(プロフ) - sheepさん» こちらこそありがとうございます!遅くに何回もごめんなさい!じゃあ明日(もう今日だ笑)行きますね!おやすみなさい^^ (2017年10月7日 0時) (レス) id: eac264aa47 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sheep | 作成日時:2017年10月2日 4時

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