DRAMATIC 7

1号車に休憩をあげる ページ1

.


「んん゛ーーー」

ぼりぼりと雑に頭を掻いて、かれこれ一時間は鉛筆片手に紙とにらめっこ。
二週間後までに一曲書き上げなきゃいけないとは聞いていたが、ここ何日かは私が遊びに来ていても延々とこの調子だ。
作詞作業は目に見えて難航しているようで、差し入れにと買ってきた唐揚げにも目もくれず。 黙々と鉛筆を走らせては溜め息を吐く彼の背中をつついてみる。


『晃ちゃん先生、ちゃんと食べないと良いもの浮かびませんよ』
「はぁい、A助手〜」

背中で返事しながら、やっとの事で小皿に取って置いてあった唐揚げをひとつ口に運んだかと思えば、鉛筆を置いてこっちに向き直す彼と一時間ぶりに目が合った。

「いただきます」
『え？なに、をっ、』

話の途中で視界いっぱい、にぃっといたずらに笑う彼の顔。

「ちゃんと食べなええ詞も浮かばへんのやろ？」
『いや、それはちょっと意味が違う、』
「違うって？」

休憩してほしいと言いたかっただけなのに「ほな、お腹いっぱいになるまでいただきます」なんて手を合わせて言うもんだから、シャツを捲し上げる手を振り払うのも忘れて思わず笑ってしまった。


先生、休憩しましょう
( 休憩の後はいいアイデアも浮かびそう？ )

.

2号車と宅デートする→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す