42言目 ページ43
及川サイド
……なんだろう?
目の前に広がるマネージャー2人の言い争い
散乱した部室
……なんだろう?これは、
1人で顔を顰めてみても目の前の光景が変わることはなくて
……なんで俺は…こんなにも…
既視感を感じるんだろう
紫吹が話せることを知ったのも今
マネージャー2人が言い争っているのも今日初めて見たというのに…なんで…
疑問が疑問を呼んで収集がつかない
けど…何か、大事なことを忘れている気がして…どうしようもなく、怖い
どこか不安定にすら感じる地を倒れないように踏みしめて1人思考の海に潜り込む
高校に入ってから…違う、もっと前…中学…飛雄に出会った頃…?いや、違う…もっと、もっと前…
濁流のように溢れてくる記憶を掻き分けてまさぐって手当り次第に放り投げていく
もっと前…もっともっと大事な、記憶…!
.
.
不意に、
桃の、匂いがした
甘くて優しくてあったかくて…そんな匂いが
覚えている、ずっと昔の事だけど…ちゃんと覚えていた
彼女は、いつも俺の前に立っていた
護るように、毅然と、
俺よりも幼いはずの彼女は…俺なんかよりずっとずっと強くて
そんな彼女は俺の名前を呼ぶんだ
その美しい
その優しい桃色の瞳で俺を見つめて
.
「「徹」」
電流を流されたような感覚とともに意識が一気に浮上する
桃の匂いはもうしない
けど、
彼女はそこにいた
俺の前で、また護るようにそこに立っていた
ただひとつ違うのは…!
「てら!」
驚いたようにこちらを振り向いたAのもとに走りよってその華奢な体を引き寄せる
同時にグサリと床に突き刺さる胡桃のカッター
「……え…?」
誰の声だったかは分からない
ただその一音が空気を震わせ、今まで状況についていけず茫然自失としていたみんなを現実に引き戻した
「…っ!?ど、どうして…?徹せんぱ…」
「てら!てら!?大丈夫っ!?」
「…え?…あ…あれ…?」
「…お、おい!とりあえず胡桃を抑えろ!!危険だ!」
岩ちゃんの声も、胡桃の叫び声も聞こえない
自分の心臓の音がやけに明瞭に聞こえて
その不安を取り除くように俺は彼女の名前を呼びながら今にも折れてしまいそうなその体をかき抱いた
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イオネラ(プロフ) - もちことさん» ほーい!まぁ更新遅いけどね(( (2020年9月19日 13時) (レス) id: feed84403c (このIDを非表示/違反報告)
もちこと(プロフ) - 待ってましたよォォオ!おかえりなさいでふ!楽しみに待っとります! (2020年9月19日 12時) (レス) id: 825cd871c1 (このIDを非表示/違反報告)
イオネラ(プロフ) - 時透翔陽(暗殺教室、ハイキュー、三代目LOVE)さん» ただいまです!ありがとうございますっ! (2020年9月19日 11時) (レス) id: feed84403c (このIDを非表示/違反報告)
時透翔陽(暗殺教室、ハイキュー、三代目LOVE)(プロフ) - お帰りなさい(^.^)(-.-)(__) これからも作品読みます(^-^)v (2020年9月19日 11時) (携帯から) (レス) id: 6d421c109e (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - イオネラさん» 体調には気をつけて頑張って下さい(^^♪ (2020年5月26日 15時) (レス) id: e7726c7270 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イオネラ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sbknmrnantsa/
作成日時:2020年3月14日 2時