青城マネは喋れない!!【ハイキュー！！】 (ページ15)

今日:7 hit、昨日:54 hit、合計:492,575 hit

14言目ページ15

Aサイド

岩泉先輩を喜ばせる方法、なんて考えたことなかったし
正直に言って無理ゲー

ん～、本当は贔屓になっちゃうし
普段は紫吹 Aとしての私を見てほしいからあんまりしたくはないんだけど……

このままだと埒が明かないしな、と割り切ってしまう
背に腹は代えられない

いつだったか
私が演じてきたキャラクターの中でどの声が一番好きか、という話を先輩方がしていたのを聞いたことがある

昔の記憶を掘り起こすように漁り、見つけた
確か、岩泉先輩は……

「はじめおにーちゃん?」

びっくりしたように顔を上げた岩泉先輩を見て、合っていた、と少しばかり安心した

綾瀬ハル
まだ私が活動して日が浅い時に担当したアニメの主人公の妹
守ってあげたくなるような、庇護欲をそそられるキャラ

綾瀬ハルならこの時、どんな仕草で、声で、彼に言葉を投げかけるだろうか
この一瞬で解析し、今の状況に合うように完璧に再現する

「いつもおーえんしてくれてありがとう!!A、すっごい嬉しい!!」

「A、怒ってなんかないから、だから元気出して?おにーちゃん」

どうだ!!自分で言うのはなんだが、かなり傑作だ

反応を見るために岩泉先輩の顔を覗き込むようにして見れば顔を手で隠された

「……今のは反則だろ…」

ぼそぼそと何か呟いたみたいだが聞こえなかった

「…?岩泉先輩、何か言われました?」

「……何も言ってない」

どうしたんだろう?先輩の顔が心なしか赤く見える
そんなに綾瀬ハルが好きなのか

「…あぁ、クソッ!!さっさと片付けすんぞ!!」

「え、あぁ、はい。」

……何か吹っ切れたらしい
まぁ、こちらとしても問題どころか良いことしかないので構わないが

……あぁ、そういえば

片付けを始めようとしている岩泉先輩の袖をさりげなく握って振り返ったところを狙って、
先輩の唇に軽く人差し指を触れさせる
自分の唇にも反対の手で同じようにしてから

「Aが喋れるのはひみつだよ?」

口止め大事、絶対に
予想外だったのは言い終わった瞬間、先輩がぶっ倒れたことです、はい

――――――――――――
一部訂正入れました