青城マネは喋れない!!【ハイキュー！！】

13言目 ページ14

Aサイド

―――星ノ宮 テラ
たった一年前に活動を開始した人気若手声優
透き通るような声が特徴的ではあるが、色々な種類の声色を使い分ける俗に言う“天才”
その声のあまりの変わりように“道化師”の異名さえついた
しかしその実態は謎に包まれており顔、年齢共に知られていない


ちらり、と岩泉先輩の顔を見上げればどこか確信をついたような目をしていて
はあ、と息をつく
もう、誤魔化しは聞かないだろう


「……そうですよ。私が星ノ宮…「やっぱり!!」…え?」


岩泉先輩を見れば体をわなわなと震わせて、どことなく熱に浮かされたようにこちらを見ていた


「俺、ずっとテラのファンで!!だから、声聞いた時ひょっとしてって思ったんだが……やっぱりあってたべや!!」


そう言いながら、手をガシィィィッ、って握ってくる岩泉先輩
ちゃんと怪我してない方握ってくるあたり、流石青城のオカンと言うべきか


「あ、あの、……岩泉先輩?」


「あぁ、手汗が……それとサインも欲しいし……」


「……先輩?」


「あ、今日、色紙持ってきてねかった!!」


そう言って四つん這いになった岩泉先輩
いや、学校に色紙持ってくる方がおかしいと思うのは私だけじゃないよね?
思いっきり、「岩泉先輩!!」と耳元で叫んでやれば何とか現実に戻ってきた


「……あの、先輩大丈夫ですか?」


「いや、全く」


私にどうしろと、


「だって、目の前にずっと憧れだった人がいて正気でいれると思うか?!」


「えっと…私のこと凄く応援してくださって嬉しいことこの上ないんですが……」


今の私は紫吹 Aですから、と笑いかければはっとしたように静かになった


「……悪い。配慮が足りてなかった」


「別に構いませんよ。分かってくだされば、それで」


さっきの勢いは何処にいったのか、目に見えて落ち込んでしまった先輩


落ち込ませるつもりはなかったんだけど……


どうすればいいかな〜、なんて考えてみる

14言目→←12言目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す