最適解が分からない【wrwrd】

37つ目の解答 ページ44

Noサイド

全ての人が戦慄した



働き手が、街娘が、貴族が、身分も年齢も問わずして
国の誰もが空を見上げて、同じ感情を持て余していた



相手国がある方向から、尋常でない速さをもってこの国を滅ぼさんと迫る“死”を
誰しもが理解はしても、受け入れることはかなわなかった



今まで積み重ねてきた日常が、あっさりと崩れ去ろうとしているというのに
誰も、動けなかった



それは、この国の要である軍幹部達も同様―――



赤は絶望に顔を染めた



深緑は相手国との外交失敗を悔やんでいた



白は相棒の白馬の鼻に唇を落とした



緑は敵討ちだとでも言わんばかりに暴れ狂った



水色は敵の主戦力との交戦中に集中を切らしてしまった



黄色は奇襲に失敗し背を斬られた



茶はただ呆然と窓の外を見つめた



桃は椅子に座り込んで目を閉じた



薄紫は顔を歪めた



橙は自分の無力を嘆いた



薄水色は傷を癒す手を止め―――








銀は信じた、己の力を








そして黒は……








嗤った








これでこそ、戦争であると
最高に楽しい余興であると


ただ、嗤った

、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
この国が滅ぶなんてことは、有り得ないのだと


「見せてくれるんだろう?A・アズリア」


「全ての理を捻じ曲げる絶対的な力の暴力を」


「奇跡とでも言うべきお前の能力を」


「だってお前は」


俺が見込んだ奴なのだから


ただ、嗤う
ただ、ひたすらに、嗤う


“死”はもう目前――――

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