最適解が分からない【wrwrd】

23つ目の解答 ページ25

Aサイド


まだ、早朝だからな…静かなのは仕方ない…か
いつもは活気に溢れた城下町が今は戦争が始まる、という状況もあってか
全体的にひっそりとしていた


こういう雰囲気も好きではあるが……やはりいつもの賑やかな方がいいな
どうしてもこの静けさが血で血を洗うような戦争が始まるということを示唆しているようで


人が死ぬのに、何故戦争は無くならないのか?


そんな、綺麗事が頭をよぎる


誰かは言った。綺麗事というのは誰もが心のどこかで常に願っているからこそ、
それでいて叶わないと分かっているからこそ綺麗事となりえるのだと


僕は弱い
誰かを救う力なんて持ち合わせていない


だから、願うことは許してほしい
誰もに幸せが訪れますように、とそう願うことだけは


ふわり、と花が舞った
美しい朝焼け色の花弁を散らして


空を仰ぎ見れば、通りに連なる一軒家、その出窓から身を乗り出したまだ小さな少女がいて


「この国に勝利の栄光を!!」


軽く手を振り返してあげれば、その子はニッ、と笑って見せた


いつの間にか止まっていた歩みを再開させる
手にはナスタチウムの花
その小さな応援が途轍もなく、嬉しい


ナスタチウムの花言葉は……


「勝利、困難に打ち勝つ、愛国心……か」


あぁ、これ以上にない程、今の僕に相応しい花だ
だから、その期待に応えなければならないのだ


僕は願うことしか出来ない


どれほど足掻いたって僕には守りたいものを守りきれるほどの力がない
ならば…


願おうじゃないか
勝利を、栄光を、全ての人の幸せを


気付けば国の関所に着いていた
徐々に開いていく門の外にするりと抜ける


振り返ることはしない
もう、ここは戦場だ


「――――この素晴らしい国に勝利と安寧を」




願いよ、届け―――

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