＿＿こいびと 4 ページ29
・
o side
彼女の小さな顎を掬い上げ、じっと目を見つめれば、潤んだ瞳に俺が映る。
合わせた目を逸らさずに頬に手をやると、悟るように目を閉じた。
ごくり唾を飲み込む。
淡く色づく唇が、微かに開いたのを見て
優しく、柔らかなそこに口づけを落とした。
＿＿ ちゅっ
初めて重ねた��そこ��は
想像しているよりも柔らかく
妄想していたよりも甘かった。
「 … 」
「 … 」
少し離れて翔子の顔を見ると、真っ赤に染まる頬と耳。
きっと俺も同じ顔をしているだろう。
だって好きな人とのキス、嬉しくないわけがない。
「… 初めて。」
「え？」
「私、智くんが初めてなの。」
ぽろりとこぼす爆弾発言。
ねぇ、分かって言ってる？
「俺も、やばいかも。」
俺の小さな呟きは、ふたりの中に溶けていく。
本当はもっとしていたい気持ちはある。
だけど最初から暴走したら、きっと怖がらせてしまうから、今日は一回で我慢。
だからその分、抱きしめさせて？
「かわいいこと、言うね。」
「智くんこそ、かっこよすぎだからね？」
そう言って、腕の中でぽぽっと染まる翔子が愛おしくて、夢でもみているかのよう。
「好きすぎて、どうにかなりそう。」
熱のこもった言葉が、互いの心の奥を震わせる。
やっと恋人になれたから、叶えたいことがある。
「俺のことばかり、考えてほしい。」
「え？」
「翔子の目に映るのは、俺だけでいい。
そう思ってるんだって、分かってて。」
「… うん。」
束縛に近い、独占愛を。
「智くんも、私だけ見てて。」
ずっと焦がれていた相手から独占されることの幸せが心に染み渡り、もう翔子しか見えない。
「もちろん。」
力強く、そう頷くと
和らぐように幸せそうに笑うから
なんだか泣きそうになった。
朝のお返しに、と。
淡く染まる頬に不意打ちのキスをひとつ。
「さと、っ」
「んふふ、朝のお返し。」
ふわりふわりと漂う甘さが心地いい、夕暮れ時。
・
恋焦がれ、求め合う心。
恋人になれた今、叶えたいことを
これからもふたりで。
��独占愛��を君にだけ。
end.
・
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もふ(プロフ) - きよさん» いつもきよさんの暖かい言葉に心癒されてます、ありがとうございます(´｀*)やっと恋が実ったふたりの甘い話をもっと書いていきたいなと思っています。幼馴染だからこその近い距離感のカップルを描いていけたらいいな。きっと無自覚に甘々なふたりだと思います(笑) (6月28日 22時) (
レス) id: aa998b0cca (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - もふさん、甘々な二人をありがとうございます。翔子ちゃんの無自覚な言動には智くんも大変ですね。バカップルと認知されるのもとおくないですね(笑)。これからも楽しみにしています。 (6月26日 15時) (レス) @page30 id: dcaa28dbe3 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - 久美子さん» 完結まで読んでくださり、ありがとうございます。長らくお付き合いくださり、感謝いたします。やっと結ばれたふたり、恋人になった関係も可愛いものだと思います。今後の続編も、読んでいただけたら嬉しいです。これからも素敵なお話をお届けできるよう、頑張ります。 (2021年7月17日 22時) (レス) id: 8ef6cca80b (このIDを非表示/違反報告)
久美子(プロフ) - もふさん、完結おつかれさまでした！恋人としての２人の日常、きっと可愛いだろうなぁと妄想してしまいます。雅咲ちゃんと和くんも付き合うのかなぁなんて想像したり。ホントに素敵なお話をありがとうございました (2021年7月17日 20時) (レス) id: 9e47c04d79 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - きよさん» 完結まで読んでくださり、ありがとうごさいます。幼馴染のふたりの恋をじっくり描けて、幸せでした。続編を待っていてくださり、嬉しいです。斗真、しほちゃん、それぞれのサイドを描きつつ、ふたりの恋模様をお届けできたらと思います。いつもありがとうございます。 (2021年7月15日 18時) (レス) id: 8ef6cca80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふ
| 作成日時：2021年2月11日 19時
