＿＿淡く遠く 2-3 ページ8
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s side
「なんで、いるの？」
約束なんて、ただの気まぐれだったんだと落ち着かせていたから、大野くんが待っていたことに驚いて、ただただ彼を見つめることしかできなかった。
「なんで、って翔くんを待ってたんだけど。」
振り向いた彼は、ぶっきらぼうにそう答える。
「え、だって俺、大野くんの教室の前で待ってたのに。
…いないから、帰っちゃったんだな、って。」
「帰るわけないじゃん、翔くんと約束してんのに。」
俺の声に被せるように答えては、少し怒っている表情がちらちら見えて、だんだんと鼓動が早くなってくる。
「… ごめん、てっきり気まぐれだったのかと思っちゃってた。ほんとごめん。」
大野くんを怒らせた、そのことだけで頭がいっぱいになって、言葉をつなげることしかできない。
「… いいよ、別に。」
そんな返事に心が痛くなって、嫌われちゃったよな、なんてさらに落ち込んでいく気持ち。
無言で歩き出す、彼の後ろ姿がやけに大きく感じて、俺も黙ってついていく。
隣には行けなくて、ふたりの間にできた微妙な距離。
昔はずっと隣にいて
近くで話して笑って、楽しかったのにな。
なんて、今と比べたってしょうがないんだけど。
思春期の間にできてしまった距離感は、もう戻せそうにないな。
何も話さず、進む足。
その沈黙は大野くんによって破られた。
「翔くんってさ、」
「なに？」
「好きな人とかっているの？」
単調直入に聞いてきた質問は、恋の話で。
「… いないよ、大野くんは？」
モテモテの彼のことだから彼女いるだろうなって、分かりきってることだけど、流れにそって聞いてみた。
「俺は、いるよ。」
そうだよね、わかってた。
いないはずがないもん、俺とは違うよな。
「今、付き合ってる人？」
「え、なんで？」
「だって、好きな人ってことは彼女じゃないの？」
「俺、彼女なんていないんだけど。」
思いがけない返事に、びっくりして
「え、じゃ、じゃあ片思いってこと？」
「そうだよ。」
この彼が、誰かに片思い。
その事実に驚いて、思わず唾を飲み込んだ。
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もふ(プロフ) - きよさん» コメントありがとうございます。ずっと寝かしていたお話にご感想をいただけて、嬉しいです。きっと何処までも続いていくふたりの恋路を見守りながら、またふたりを描けたらいいな、と思います。再開までもう少しお待ちいただけたら、幸いです。 (2021年10月16日 17時) (
レス) id: 8ef6cca80b (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - 花咲*さん» 温かなお言葉をありがとうございます。大好きだと言ってくださって、とても嬉しいです。大好きなふたりをまたここで描けるように、心を暖めていきたいと思います。再開まで、もう少しお待ちいただけたら幸いです。 (2021年10月16日 17時) (レス) id: 8ef6cca80b (このIDを非表示/違反報告)
きよ(プロフ) - もふさん、可愛いお話しありがとうございます。女の子翔ちゃんならそのままでと思ってしまいそうなのに、翔くんの事なら何にも動じないで信じ、ありのままを愛せる智くんが最高です。想いが強くて女の子になっちゃう翔くんも好きです。このお二人にまた合いたいです。 (2021年10月13日 12時) (レス) @page44 id: 6c6ffed641 (このIDを非表示/違反報告)
花咲*(プロフ) - もふさんのお山のお話が大好きでした。お山信者の私はお山のお話を読むことですいつも癒されていました。ありがとうございました。また、もふさんがここに来てお話書いてくれる日を夢見て待っています。お話残して下さりありがとうございます。 (2021年10月12日 22時) (レス) @page30 id: 7a9a23c4d1 (このIDを非表示/違反報告)
もふ(プロフ) - きよさん» いつもお優しいコメントをいただき、とても支えになっていました。本当にありがとうございます。とにかく甘いふたりが好きな私にとって、今までのようなお話を書くには少し時間が必要で。心が落ち着いて書きたいと思えた時に戻ってきます。お待ちいただけたら幸いです。 (2021年10月4日 14時) (レス) id: 8ef6cca80b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふ
| 作成日時：2021年2月7日 0時
