父さんと呼べないで２ (ページ25)

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それぞれの道ページ25

智side

だから、和が他人に預けられていたっていうのは、全部が嘘ではないけど少し大袈裟に言ってしまった。

施設と協力して俺が主に面倒を見ていた、というだけ。
翔が帰ってくる1年弱。
もちろん和は覚えていないだろう。

それからは、翔は元気にやっていたみたいで。

俺は3年勉強したのちに、医療の学校に入学した。
中卒というのはかなりのハンデで、今までの小さな穴が今の俺には少しずつ影響し出していた。

入学と同時に施設を出て、一人暮らしを始めた。
もう絶対に負けない、何があっても。

強い覚悟を持って、社会への第一歩を踏み出した。

当時、潤は高校3年生。
翔は高校1年生。
和は3歳だった。

その後は定期的に様子を見てはいた。

潤は施設を出なきゃ行けない20歳まで残り、一人暮らしをするため施設を出た。
その時翔は18歳。高校卒業とともに施設を出た翔を施設に置いていけなくて、潤は待っていたのだろう。

潤はモデルの道に。
翔はそのままサラリーマンに就職。
当時6歳になった和は、小学校に上がる前の年だった。

幼稚園に行かせられなかったから、小学校の入学には絶対にお金を集めたいと、翔だってやりたいことあっただろうに、高卒で就職に就いた。

ここで俺らは初めて、それぞれの道を歩むべく、離れた。

定期的に会っていたとはいえ、それから9年の月日が流れた今、ほとんど会わずにいた。

お互いの話を聞くだけで。

だから翔が和にこのことを伝えていなかったのは俺も驚いて、それ以上に会う機会が増えたのが翔の再発であることに、つい世の中を恨んでしまった。

なんで俺らにばかり試練を突きつけるんだ。

そんなの誰も悪くなんかないのに…