全ての涙 ページ16
雅side
和は俺のせいでこんなことになった。
居場所を教えなければ…
しっかり守ってあげていれば…
せめて一緒にいてあげていたら…
"でも教えていなかったら自分が刺されていたかもしれない"
正直、今の俺はそんなのどうでも良かった。
やっぱり和に嫌われたくなくて…
離れてわかったんだ。
俺は和がいなくちゃダメだってことに。
そして和を守れるのは俺しかいないんだってことに。
今更かもしれないけど…心からそう思えたんだ。
雅「…かず、」
和「…」
和は俯いたまま泣いていた。
雅「か、」
和「お前となんか…もう、、縁切るって決めたのに…」
振り上げられた手を俺は何もせずに見つめた。
和「なんでっ…お前は…」
そのままギュッと抱きしめられた。
雅「…っ、和」
和「…お前、こんなことしたら、…あいつらに何されるか分かんねぇぞ」
雅「うん」
和「お前が目付けられるかもしれないのに」
雅「うん」
和「…分かってんのかよ…」
雅「うん」
和「俺の気持ちが…、」
雅「…ぅ、ん」
涙が溢れた。
口には出さないけど、ずっとずっと我慢してくれていた。
和は優しいから。
俺を敵側に回してしまったから、派手に抵抗もしなかった。
気付いてたよ。
和が泣きそうになるの。
でも…
決まってその空間には俺がいるから、いつも耐えてた。
その涙…
今の涙が…
今日まで俺が和にしてきた全てだ。
雅「全部、俺が受け止めるから。
だから、もう一度だけ…
俺のそばにいて」
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作者名：あらぶゅ
| 作成日時：2016年5月30日 0時
