『スノードロップ』 -希望への道-

35 阿部side ページ36

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阿部｢俺……物心着いた頃には両親なんていなくて…施設で育ったんだ｣




俺……シナモンに何話してんだろう




まぁ……シナモンじゃなくて翔太か




阿部｢親戚はみんな見て見ぬふり


愛情なんて…俺は知らないんだよ


佐久間に言われて…改めて思った


俺は何で生きてるんだって


生きてる意味を……見失いそうになった


俺を必要としてくれるのなんて…弟くらい


もしかしたら､その弟ですら…俺のことを見放してるかもしれない


俺に味方なんていない


ねぇシナモン…


普通って……なに…｣




久々にこんな泣いた




テーブルに伏せてたから､涙でビシャビシャ




最悪




しかも人前で




感情なんてなかったのに




だから､大学でも分け隔てなく接することができた




コイツらに嫌われたってなんとも思わない




だから大学での俺ができた




惨めだな…俺




＿＿ﾌｧｻｯ




たぶん､俺の肩にブランケットがかけられた




なんだろう…この安心感




翔太｢シナモン持ち上げるの疲れた……阿部ちゃん話長いし｣




これは…翔太なりの優しさなのかな




翔太｢普通なんて…人それぞれだろ｣




頭上から､翔太の声が聞こえる




まだちゃんと顔も見てないのに…こんなに話せてる




翔太｢俺には…大切な友達がいた｡そいつのためなら………なんだってできた｡大事だと思ったやつのためなら…人だって殺せる｡これが俺の普通｣




翔太から発せられたのは短い言葉だけど




1つ1つ重みの感じられる言葉だった




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