甘くて苦い(ルパン) ページ34
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ツンと苦い匂いが漂ってきて思わず眉をひそめる。
シャワーを浴びてすぐに出てきてみれば、少し開いていた窓からタバコ特有の苦い匂いが部屋に入ってきて、洗ったばかりの体に纏わり付いた。
そんな煙をこちらに送ってくる当の本人は今も背を向けたまま街を見ている。
何度も窓を閉めてから吸ってくれと言っているがどうにも守ってくれない彼に本日2度目のため息が落ちる。
煙の通り道の開いていた窓を閉めた後、髪から落ちる水をバスタオルで受け取りながら髪を乾かしに戻る。
元々Aは煙草があまり得意ではなかった。
それは、匂いが苦手という点もあるのだが、特に自分の好きな人の体、健康面からも吸って欲しくないのだ。
そんな彼女の意図を知ってか知らずか、量を減らすと同時に外で吸うことを約束してくれた彼なのだが、いつもなにかと爪が甘いのだった。
「あらあら、どうしちゃったの〜」
「吸わないって言ったのに」
家の中では吸っていないという彼に、半ば呆れながら窓が開いていたことを告げるとごめんごめんとさらっと謝られた。
別に謝って欲しいわけでも無くて、どうしても
もやもやした気持ちになる。
なぜうまく伝わらないのだろうか。
人間には口がちゃんとついているというのに。
どうやら自分には正しく使えていないようだ。
「ありゃ、ど〜しちゃったの。」
そんなやりきれない表情の彼女の髪を触りながら、
Aの肩を抱き寄せる。
「煙草は体に悪いんだよ。長生きできなくなるかも」
最後の方はぶつぶつと小声になってしまったがルパンにはしっかり届いていて、不安そうに目を合わせてくる彼女にこう言った。
「俺を誰だと思ってるんだ。Aを残して死ぬ気はないぜ」
そういう事を言ってるのでは無いと押し返して離れる彼女は本日3度目のため息を漏らした。
幸せが逃げちゃうぞ〜と茶化してきだした彼に今日はもう話が通じないのがわかっている為、寝てしまおうと逃げるように寝室へ向かう途中に後ろから回された手に捕まった。
そして囁くように漏らした言葉のせいで吐き出してしまった幸せを全て吸い込みたくなった。
「知ってるか。Aはどの煙草よりも中毒性があるんだぜ」
ああ、わたしはどうにも彼を嫌いになれそうにない。
...end.
終わり
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チェシャ猫(プロフ) - リクエスト良いですか？ (2022年12月28日 18時) (
レス) id: af2b388f3f (このIDを非表示/違反報告)
さかなのしっぽ(プロフ) - シーナさん» リクエストありがとうございます！ (2020年6月16日 2時) (レス) id: e4b8216cb7 (このIDを非表示/違反報告)
さかなのしっぽ(プロフ) - ジンloveさん» ありがとうございます！ (2020年6月16日 2時) (レス) id: e4b8216cb7 (このIDを非表示/違反報告)
シーナ - リクエストです【男性恐怖症の夢主と次元】と【一国の姫の夢主に次元が迎えに行く話】と【ルパン一味に愛されてる夢主が敵に誘拐される(次元)】をお願いします！！ (2020年5月29日 0時) (レス) id: e97b238670 (このIDを非表示/違反報告)
ジンlove - とっても面白いですね。 (2020年5月20日 16時) (レス) id: c6e3be00f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのうのひるごはん | 作成日時：2019年6月16日 2時
